T1N0肺がん、縮小手術の候補となるのは?

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/19

 

 日本人の早期肺がんの肺葉切除に関するエビデンスが示された。神奈川県立がんセンターの伊藤 宏之氏らは、薄切CTに基づき臨床病期T1N0肺がん患者の肺葉切除後の長期アウトカムを評価し、consolidation tumor ratio(胸部薄切CT上、最大腫瘍径に対する充実性成分の比=C/T比)0.5以下および腫瘍径3cm以下の患者は、予後良好で縮小手術の候補である可能性を示唆した。Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery誌オンライン版2020年1月11日号掲載の報告。

 研究グループは、肺葉切除を受けた肺腺がん患者543例の病理データを収集し、C/T比と腫瘍径によって以下の4グループに分類し、10年間の全生存率、無再発生存率を調査した。

・グループA:C/T比≦0.5で腫瘍径≦2cm
・グループB:C/T比≦0.5で腫瘍径≦3cm
・グループC:C/T比>0.5で腫瘍径≦2cm
・グループD:C/T比>0.5で腫瘍径2~3cm

 主な結果は以下のとおり。

・肺葉切除を受けた543例全体の10年全生存率は80.4%、10年無再発生存率は77.1%であった。
・グループ別の10年全生存率は、グループAで94.0%、グループBで92.7%、グループCで84.1%、グループDで68.8%であった。
・グループ別の10年無再発生存率は、それぞれ94.0%、89.0%、79.7%、66.1%であった。
・グループA+Bは、グループC+Dより10年全生存率が良好で(ハザード比[HR]:2.78、95%信頼区間[CI]:1.45~5.06)、10年無再発生存率も良好であった(HR:2.74、1.55~4.88)。
・グループAでは、再発は認められなかった。

 進行中のJCOGの試験において、区域切除の生存に関する肺葉切除との非劣性が確認されれば、区域切除は標準治療に入るであろうと筆者らは述べている。

(ケアネット)