予定外の再入院率は、精神科医療におけるケアの質を評価するうえで、重要な指標である。しかし、統合失調症スペクトラム障害患者を対象とした、再入院を予測するためのリスクモデルはなかった。中国・Castle Peak HospitalのKeith Hariman氏らは、精神科急性期病棟から退院した統合失調症スペクトラム障害患者における、退院後28日間の事故や救急受診での予定外の再入院を予測するための臨床リスク予測モデルについて検討を行った。BJPsych Open誌2020年1月28日号の報告。
対象は、香港のすべての精神科病棟から5年以内に退院した成人統合失調症スペクトラム障害患者。社会経済的背景、医学的および精神学的病歴、現在の退院エピソード、アウトカム評価(Health of the Nation Outcome Scales:HoNOS)のスコアに関する情報は、ロジスティック回帰を用いて、リスクモデルの予測変数として導き出された。サンプルは、derive(1万219例)とvalidate(1万643例)にランダムに分割した。
主な結果は以下のとおり。
・予定外の再入院率は、7.09%であった。
・予定外の再入院のリスク因子は、過去の入院数の多さ、物質乱用の併存、暴力歴、退院時にHoNOSの項目である過活動/攻撃のスコアが1以上であった。
・保護因子は、高齢、クロザピン使用、退院後の家族や親族との生活、条件付きの退院であった。
・derivation and validationデータセットに関するc統計量は、0.705および0.684であり、中程度の識別力が認められた。
著者らは「患者それぞれの再入院リスクの特定は、この好ましくないアウトカムを予防するための高リスク患者に対する治療を調整することができる」としている。
(鷹野 敦夫)