双極性障害(BD)患者では、強迫症(OCD)を併発することが多いといわれている。OCD併発のBD患者では、その症状やマネジメントが複雑化する。しかし、BD患者のOCD有病率は、明らかにはなっておらず、研究や最近のメタ解析により大きく異なっていた。ギリシャ・National and Kapodistrian University of AthensのPanagiotis Ferentinos氏らは、BDの横断的研究または生涯OCD有病率に関する研究のシステマティックレビューとメタ解析を実施。推定有病率の決定因子をメタ回帰により評価し、うつ病患者および一般集団との比較を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年2月15日号の報告。
2019年1月までに公表された英語の関連文献を、PubMed、MEDLINEより検索した。有病率は、メタ解析前にFreeman-Tukey double arcsine transformationを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・横断的に有病率を報告した研究は29件(6,109例)、生涯有病率を報告した研究は39件(8,205例)であった(8件は両方の報告)。
・変量効果モデルでは、BD患者におけるOCD併発の推定値は以下のとおりであった。
●生涯有病率:10.9%、95%CI:7.8~14.4
●横断的有病率:11.2%、95%CI:7.6~15.3
・一般集団の推定値は、生涯有病率2.5%、横断的有病率1.6%であった。
・研究設定(疫学または臨床)、診断基準、手順、性別、BDサブタイプ、寛解状態は、メタ解析における推定有病率の不均一性に影響を及ぼさなかった。
・年齢は、生涯有病率と小さいながらも有意な負の相関が認められた。
・BD患者のOCD有病率は、うつ病患者と有意な差は認められなかった。
著者らは「BD患者の生涯OCD有病率は、一般集団の4.4倍であった。横断的有病率も生涯有病率と同様に高く、BD患者のOCD併発は、一般集団よりも慢性的で持続的であった」としている。
(鷹野 敦夫)