慢性期統合失調症患者に対する高用量の抗精神病薬使用は、より重篤な副作用につながり、リカバリーを妨げる可能性がある。しかし、抗精神病薬の減量は精神症状の再発リスクを伴うため、減量による再発のリスク因子を特定することは臨床に役立つと考えられる。オランダ・Mental Health Services RivierduinenのJan P. A. M. Bogers氏らは、慢性期統合失調症における抗精神病薬の減量または中止と再発リスクに関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年3月2日号の報告。
MEDLINE、EMBASE、PsycINFOより、1950年1月~2019年6月までの文献をシステマティックに検索し、慢性期統合失調症コホートにおける抗精神病薬の減量または中止後の再発率(イベント率:ER)について報告した研究をレビューした。1人年あたりのER、95%信頼区間(CI)を算出し、潜在的なリスク因子、患者特性、減量・中止の特徴、研究特性の特定を試みた。
主な結果は以下のとおり。
・165の文献から46コホート(1,677例)における、抗精神病薬の減量または中止について記載された40件を研究に含めた。
・精神症状再発のプールされたERは、1人年あたり0.55(95%CI:0.46~0.65)であった。
・有意に高いERは以下において認められた。
●入院患者
●短い罹病期間の患者
●抗精神病薬を中止、またはハロペリドール換算5mg未満に減量された患者
●フォローアップが短期間または1990年以前に発表の研究
●臨床的判断に基づいた(評価尺度を使用していない)再発の研究
著者らは「慢性期統合失調症に対し抗精神病薬の減量を行う場合には、精神症状の再発に対する強いリスク因子を考慮する必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)