東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本人統合失調症患者200例を対象に行ったブレクスピプラゾール単剤療法切り替えの試験データを用いて、事後分析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年4月15日号の報告。
試験期間は8週間、4週間の切り替えフェーズと4週間の切り替え後フェーズで構成されている。ブレクスピプラゾールへの切り替えスケジュールは、最初に1mg/日で投与を開始し、第4週目までに2mg/日まで増量した。それまでに使用されていた抗精神病薬は、第3週より徐々に減量し、第4週目までに中止した。ブレクスピプラゾールの投与量は、CGI-I基準に従い、最大4mg/日まで増量可能とした。
主な結果は以下のとおり。
・第8週目のブレクスピプラゾールの投与量別の割合は、以下のとおりであった。
●1mg/日:1.8%
●2mg/日:23.2%
●3mg/日:25.0%
●4mg/日:50.0%
・第8週目の治療中止率は、17.0%であった。
・主な治療中止理由は、同意の撤回(9.5%)、有害事象の発生(5.5%)、医師の判断(2.0%)であった。
・一般的に認められた有害事象は、鼻咽頭炎(13.5%)、統合失調症症状の悪化(9.0%)、不眠症(6.5%)、頭痛(5.5%)、アカシジア(5.5%)であった。
・治療中止率と前治療薬との関連では、アリピプラゾールからの切り替えにおける治療中止率は4.9%であったが、ほかの抗精神病薬からの切り替えにおける治療中止率は、25.4%であった。
著者らは「ブレクスピプラゾールへ切り替える際、主要な前治療薬がオランザピンの場合には、治療中止に至る有害事象を考慮し、慎重な切り替えが求められる」としている。
(鷹野 敦夫)