最近の研究において、夜間のブルーライトは、睡眠や概日リズムの異常と関連していることが示唆されている。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、双極性障害患者の睡眠や概日リズムに対するブルーライトカット眼鏡の効果について検討を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年4月10日号の報告。
本研究は、ランダム化プラセボ対照二重盲検デザインで実施した。不眠症を有する双極性障害患者を対象に、オレンジ色のブルーライトカット眼鏡(BB群)または透明な眼鏡(対照群)を用いる群にランダムに割り付け、20時から就寝の間にそれぞれの眼鏡を使用させた。主要アウトカムは、ビジュアルアナログスケール(VAS)で測定された睡眠の質のベースラインから介入後までの変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者数は43例(BB群:21例、対照群:22例)であった。
・VASによる睡眠の質の変化は、両群間で有意な差は認められなかった(95%信頼区間[CI]:-3.34~24.72、p=0.13)。
・朝型夜型質問紙(Morningness-Eveningness Questionnaire)のスコアでは、BB群はリズムが早く変化し、対照群は遅く変化しており、これらの変化には統計学的に有意な差が認められた(95%CI:1.69~7.45、p=0.003)。
・アクチグラフィー睡眠パラメータや気分症状の変化は、両群間で有意な差は認められなかった。
著者らは「薬物治療の併用が影響を及ぼした可能性がある」としながらも「双極性障害患者の概日リズムの異常に対し、ブルーライトカット眼鏡による補助療法が役立つ可能性があることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)