韓国・漢陽大学校病院のSeokmin Noh氏らは、統合失調症患者において、自動車運転に関連する認知機能に、使用している抗精神病薬の種類によって違いがあるかについて検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年8月29日号の報告。
対象は、抗精神病薬の単剤処方を受けていた統合失調症成人患者102例。神経認知機能の評価には、運転に関する認知機能評価(CPAD)、運転能力のための視覚、注意、ワーキングメモリ、反応時間、抑制制御などのコンピュータ化した評価バッテリーを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・使用されていた抗精神病薬の内訳は、ハロペリドール15例、リスペリドン28例、オランザピン14例、アリピプラゾール28例、パリペリドン17例であった。
・102例中64例(63%)は、運転能力があると見なされた。
・CPADの合格率は以下のとおりであり、ハロペリドール群とアリピプラゾール群(p=0.005)、ハロペリドール群とパリペリドン群(p=0.001)に有意な差が認められた。
●ハロペリドール群:33%
●リスペリドン群:57%
●オランザピン群:57%
●アリピプラゾール群:75%
●パリペリドン群:82%
・深視力(正解数)、分割的注意、数唱テスト、Trail Making TestパターンBのスコアは、ハロペリドール群とリスペリドン群と比較し、アリピプラゾール群とパリペリドン群において有意に良好であった。
著者らは「アリピプラゾールまたはパリペリドンによる抗精神病薬単剤療法で治療を行っている統合失調症患者の運転関連認知機能は、ハロペリドールまたはリスペリドンの単剤療法で治療している患者と比較し、良好であることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)