治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬増強療法

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/14

 

 治療抵抗性うつ病の臨床症状として、自殺念慮や重度の機能障害が認められることがしばしばある。治療抵抗性うつ病の治療に対し、使用可能な薬剤の中で、第2世代抗精神病薬が有用であることが報告されている。イタリア・ミラノ大学のFilippo Cantu氏らは、治療抵抗性うつ病に対する第2世代抗精神病薬増強療法の有効性を評価するため、臨床研究のレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月5日号の報告。

 2000年1月~2020年3月に公表された、治療抵抗性うつ病に対する抗精神病薬増強療法を評価したすべてのランダム化比較試験を、PubMed、Medline、PsychINFOより包括的に検索した。選択基準を満たした研究は16件であった。

 主な結果は以下のとおり。

・レビューした研究では、治療抵抗性うつ病に対してアリピプラゾール増強療法が有用である可能性が示唆された。
・また、不安神経症や不眠症を合併した治療抵抗性うつ病に対するクエチアピン増強療法の使用も支持された。
・治療抵抗性うつ病に対するリスペリドンとオランザピンの効果を検討した研究はあまりなかったが、予備データでは、プラセボよりも有用であることが示唆されており、治療選択肢となりうると考えられる。
・本研究の限界として、治療抵抗性うつ病の定義が一貫していない、サンプルサイズが小さい、抗精神病薬の投与量が不均一である点が挙げられる。

 著者らは「全体として、治療抵抗性うつ病に対する第2世代抗精神病薬増強療法、とくにアリピプラゾールとクエチアピンによる治療は、有用な治療選択肢であるという仮説を支持するものであった。しかし、治療抵抗性うつ病の治療アウトカムを改善するためには、サンプルサイズの大きな、質の高いランダム化比較試験が必要であると考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)