初発精神疾患患者における抗精神病薬治療の中止率

提供元:ケアネット

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公開日:2021/01/11

 

 コンプライアンスの不良は、精神疾患患者にとって重要な問題である。精神疾患の再発を予防するうえで抗精神病薬治療は有用であるが、初回エピソード精神疾患後の治療期間に関する明確な推奨事項はなく、治療中止率やその原因については、よくわかっていない。スペイン・バスク大学のAna Catalan氏らは、初回エピソード精神疾患患者における抗精神病薬治療を中止するまでの期間と再発までの期間について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年12月7日号の報告。

 初回エピソード精神疾患患者の大規模サンプルを用いて2年間評価し、すべての原因による抗精神病薬治療を中止するまでの期間と最初の再発までの期間を比較した。対象患者の社会人口統計学的および精神病理学的特徴、再発回数を収集した。

 主な結果は以下のとおり。

・初回エピソード精神疾患患者310例(平均年齢:30.2±11.2歳)を対象に、7つの早期介入チームが評価を行った。
・診断では、特定不能の精神疾患(36.1%)が最も多く、使用された抗精神病薬は、リスペリドン(26.5%)、オランザピン(18.7%)が多かった。
・最初の抗精神病薬治療の中止理由は、有効性の欠如であり、次いでコンプライアンス不良であった。
・抗精神病薬の種類による再発率の差は認められなかった。
・剤形では、長時間作用型注射剤(LAI)で治療された患者は、経口剤で治療された患者と比較し、治療から離脱することが少なかった。

 著者らは「薬剤間での再発率の差は認められなかったが、剤形間では定着率の違いが認められた。精神医学では、コンプライアンスは依然として重要な問題であるため、LAI治療などさまざまな治療戦略を用いて、コンプライアンス向上を促進する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)