双極性障害と摂食障害との相互関係については、データが不十分なため、よくわかっていない。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、双極性障害患者の摂食障害有病率および摂食障害患者の双極性障害有病率を調査し、相互関係を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月13日号の報告。
2020年4月20日までに公表された双極性障害と摂食障害との関連を検討した研究を、MEDLINE、PsycINFOデータベースよりシステマティックに検索した。複数のモデレーターを考慮し、変量効果メタ解析とメタ回帰分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・36件の研究より、一次診断が双極性障害の患者1万5,084例が抽出された。
・11件の研究より、一次診断が摂食障害の患者1万5,146例が抽出された。
・双極性障害患者の過食性障害有病率は12.5%(95%CI:9.4~16.6、I2=93.48)、過食性障害患者の双極性障害有病率は9.1%(95%CI:3.3~22.6)であった。
・双極性障害患者の神経性過食症有病率は7.4%(95%CI:6~10)、神経性過食症患者の双極性障害有病率は6.7%(95%CI:12~29.2)であった。
・双極性障害患者の神経性やせ症有病率は3.8%(95%CI:2~6)、神経性やせ症患者の双極性障害有病率は2%(95%CI:1~2)であった。
・全体として、摂食障害を合併した双極性障害患者は、非摂食障害の対照群と比較し、女性の割合が高かった。
・いくつかのモデレーターは、異なるタイプの双極性障害と摂食障害内およびそれらの間の両方で、統計学的に有意な差が認められた。
著者らは「双極性障害と摂食障害との合併は、いずれかの疾患からの方向性と関連するよりも、診断サブタイプにより異なると考えられる。今後の研究において、リスク、年代、臨床的影響、発症の管理に焦点を当て、各年齢層にわたる連続的なアプローチが求められる」としている。
(鷹野 敦夫)