カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合するヒト化モノクローナル抗体であるガルカネズマブ(GMB)は、成人の片頭痛予防に承認されている薬剤である。皮下注射として、月1回自己投与を行う注射製剤である。米国・イーライリリー・アンド・カンパニーのDulanji K. Kuruppu氏らは、反復性および慢性片頭痛患者におけるGMBの効果と時間経過との関係を報告した。Advances in Therapy誌オンライン版2021年2月5日号の報告。
3つの二重盲検プラセボ対照第III相試験のデータを分析した。反復性片頭痛患者1,773例および慢性片頭痛患者1,113例は、プラセボ群、GMB 120mg群(初回240mg、以後120mg/月)、GMB 240mg群に、2:1:1の割合でランダムに割り付けられた(2016年1月~2017年3月)。効果発現は、GMBがプラセボに対し統計学的に有意な差が認められ、その後維持できた最も早い時点に基づく逐次解析アプローチを用いて決定した。効果の維持は、GMBとプラセボで治療された患者において、個々の患者レベルで50%以上の反応を維持した割合を比較し決定した。治療の中止は、毎月の片頭痛日数のベースラインからの変化に基づき、治療期間後4ヵ月間で決定した。
主な結果は以下のとおり。
・GMBは、初日注射後から片頭痛の割合を低下させた。
・二重盲検期間中、GMBの効果は維持された。
・治療期間後、ほとんどの患者において、リバウンド頭痛が起こることなく、徐々に効果が消失した。
著者らは「ガルカネズマブは、成人片頭痛患者の新たな予防オプションであり、即効性、持続性、消失性に優れた薬剤である」としている。
(鷹野 敦夫)