昨年、ダイジェスト版が先行発表されていた日本集中治療医学会・日本救急医学会の合同作成による「日本版敗血症診療ガイドライン2020」の正式版が、3月に発刊された。本ガイドラインは、小児から成人まで敗血症・敗血症性ショック患者およびその疑いのある患者の診療において、医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことを目的に作成されている。また、敗血症診療に従事または関与する専門医、一般臨床医、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士、管理栄養士などのすべての医療従事者への利用を促している。
今回の改定版は、敗血症疾患の予後改善のために適切な判断を下すことを目的に、一般臨床医にもわかりやすく作成されている。.新たな項目として4領域(神経集中治療、Patient-and Family-Centered Care、Sepsis Treatment System、ストレス潰瘍)を追加し、敗血症診療を計22領域で構成、CQ:118題について解説されている。
<Clinical Question―全22領域>
CQ1:敗血症の定義と診断
CQ2:感染の診断
CQ3:画像診断と感染源のコントロール
CQ4:抗菌薬治療
CQ5:免疫グロブリン(IVIG)療法
CQ6:初期蘇生・循環作動薬
CQ7:ステロイド療法
CQ8:輸血療法
CQ9:呼吸管理
CQ10:痛み・不穏・せん妄の管理
CQ11:急性腎障害・血液浄化療法
CQ12:栄養療法
CQ13:血糖管理
CQ14:体温管理
CQ15:DIC診断と治療
CQ16:静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)対策
CQ17:Post-intensive care syndrome(PICS)と ICU-acquired weakness(ICU-AW)
CQ18:小児
CQ19:神経集中治療
CQ20:Patient- and Family-Centered Care
CQ21:Sepsis treatment system
CQ22:ストレス潰瘍
制作委員長を務めた江木 盛時氏(神戸大学大学院医学研究科外科系講座麻酔科学分野)と小倉 裕二氏(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)らは、「集中治療室に限らず、一般病棟や救急外来で、診断・治療を受ける患者を包括するが、敗血症患者は高度な全身管理を必要とすることから、敗血症およびその疑いの強い患者では、状況が許す限り、速やかに集中治療室へ移送しての管理が望ましい」と強調している。
(ケアネット 土井 舞子)