腸内細菌叢から健康状態を測れるか

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/31

 

 健康的な食習慣に関連する腸内細菌群は、良好な心血管代謝および食後マーカーに関連する腸内細菌群と重なることが、イタリア・トレント大学のFrancesco Asnicar氏らによって示された。疾患を持たない個人では、健康レベルごとに腸内細菌叢を階層化できる可能性があるという。Nature Medicine誌2021年2月号の報告。

 腸内細菌叢は食事によって形作られ、宿主の代謝に影響を与える。しかし、これらの関連性は複雑で、個人ごとに異なると考えられている。

 したがって本研究では、Personalised Responses to Dietary Composition Trial(PREDICT 1)試験に登録された1,098人を対象に1,203の腸内細菌叢のメタゲノム解析を実施し、食習慣および、空腹時と食後の心血管代謝マーカーとの関連性を分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・多くの微生物は、特定の栄養素や食品、食品群、普通食の指標との間に有意な関連性を示した。
・微生物とこれらとの関連性は、植物由来の健康的な食品が複数種類含まれると、より強まった。
・肥満の微生物バイオマーカーは、他のコホート研究の結果を再現しており、心血管疾患におけるリスク指標の血液循環代謝物と一致していた。
Prevotella copriBlastocystis spp.などの一部の微生物は、良好な食後糖代謝の指標であることが示された。
・腸内細菌叢全体の組成は、空腹時および食後血糖、高脂血症、炎症などの心血管代謝マーカーを包括的に予測していた。

(ケアネット 池田 里美)