第2世代抗精神病薬による統合失調症治療におけるMetSに関連する因子

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/31

 

 重度の精神疾患を有する人は、一般の人と比較し、合併症の罹患や死亡率が増加する。体重増加を含む抗精神病薬の有害事象は、メタボリックシンドローム(MetS)の発症に影響を及ぼす可能性があり、これはすべての原因による死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクの増加と関連している。オランダ・ユトレヒト大学のMarius H. Sneller氏らは、第2世代抗精神病薬(SGA)による治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetS関連の臨床的、生化学的、遺伝学的因子について、包括的なレビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年3月29日号の報告。

 SGA治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetSとの関連を調査したすべてのコホート研究、横断的研究、臨床試験を特定するため、PubMedおよびEmbaseより検索を行った。MetS関連の臨床的、生化学的、遺伝的因子を抽出した。MetSに関連する因子の定義は、2つ以上の研究で報告されている因子とした。

 主な結果は以下のとおり。

・58件(1万2,123例)の研究をレビューした。
・MetSのリスク増加と関連している因子として、62因子が特定された。
・58件中31件の研究で、2件以上の研究で報告されたMetSと関連する因子について調査されていた。
・MetSと有意な関連が認められた因子は、以下のとおりであった。
 ●臨床的因子:性別、高齢、気分安定薬の併用、ベースライン時および現在のBMIの高さ、SGAの早期使用、高用量、治療期間の長さ、精神疾患、喫煙
 ●生化学的因子:低アディポネクチン血症、C反応性蛋白(CRP)レベルの上昇、白血球(WBC)数高値
 ●遺伝学的因子:HTR2C遺伝子のrs1414334 C対立遺伝子

 著者らは「SGAで治療している患者におけるMetS発症リスクを予測するためには、これらの因子を段階的に適用する必要がある。臨床診療において、MetS発症リスクを判断するためには、今後の研究が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)