2022年3月4日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019のPhase 2/3追加免疫比較試験の中間報告の結果速報に関する説明会を開催し、東京品川病院副院長兼治験開発・研究センター長 新海 正晴氏より、中間報告においてS-268019群のコミナティ群に対する非劣性が確認されたことが報告された。
Phase 2/3追加免疫比較試験は、コミナティ筋注2回接種後6ヵ月以上経過した20歳以上の成人を対象として、3回目の追加接種に関してコミナティに対する非劣性を検証する目的で実施された。試験デザインは無作為化、オブザーバーブラインド、実薬対照であり、統計学的仮説検定は次の条件で行われた。
<統計学的仮説検定>
コミナティ群に対するS-268019群の中和抗体価の幾何平均抗体価(GMT)比の95%信頼区間[CI]の下限値が0.67よりも大きい、かつ、コミナティ群に対するS-268019群の中和抗体価の抗体応答率の差の95%CIの下限値が-10%よりも大きい場合、コミナティに対する免疫原性の非劣性が検証されたとする。
参加者の患者背景はS-268019群 103例、コミナティ群 102例であり、主要評価項目はDay29のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTおよび抗体応答率であった。
以下の結果より、中間報告における主要評価項目の達成が確認された。
・Day29のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTはS-268019群 126.42、コミナティ群 108.20(95%CI:0.96~1.42)であり、S-268019群のコミナティ群に対する非劣性が検証された。
・Day29のSARS-CoV-2中和抗体価の抗体応答率はS-268019群 100.0%、コミナティ群 100.0%(95%CI:-5.8~5.8)であり、S-268019群のコミナティ群に対する非劣性が検証された。
また、オミクロン株を含む変異株に対して、S-268019群はコミナティ群と同等の中和抗体価を示した。安全性についてはS-268019群、コミナティ群ともにほとんどがGrade 1あるいは2であり、コミナティ群と比較して、S-268019は特定全身/局所副反応の発現率が同等以下であった。
(ケアネット 細川 千鶴)