リハビリテーションでの感染症対応の指針まとまる/日本リハビリテーション医学会

提供元:ケアネット

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公開日:2022/03/23

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防では、人と人との間に距離をとることが推奨されているが、理学療法や運動療法では患者の体を支えたりする必要もあり難しい。そのためCOVID-19に感染する、感染させるリスクが日常生活に比べて高くなる。

 日本リハビリテーション医学会(理事長:久保 俊一氏[京都府立医科大学])は、2022年2月21日に「日本リハビリテーション医学会 感染対策指針 COVID-19含む」を制作、同学会のホームページで公開した。

 本指針は、リハビリテーション診療患者と医療従事者の距離が近く、接している時間も長時間となることに鑑み、同学会診療ガイドライン委員会において、新興感染症などに対応した医療関連感染対策の指針が必要と判断され、策定が決定されたもの。

COVID-19だけでないリハビリテーションでの感染症対策

 主な内容は次の通り。

1)平常時対応
・(平常時の)標準予防策、経路別予防策は?
・(平常時)の職員教育の方法は?

2)新興・再興感染症
・新興・再興感染症にはどのようなものがあり、どのような感染予防策が必要か?

3)COVID-19蔓延期・地域での対応
・入院リハビリテーションに際する対応は?
・外来リハビリテーションに際する対応は?
・訪問リハビリテーションに際する対応は?
・通所リハビリテーションに際する対応は?
・発熱や上気道症状などCOVID-19を疑う症状を呈している患者への対応は?
・職員の健康管理はどのように行うか?
・家族との面談方法は?
・外部関係者との面会・手続きは?
・その他の対応は?

4)COVID-19確定症例との濃厚接触
・COVID-19患者との濃厚接触の定義は?
・濃厚接触者となった患者への対応は?
・濃厚接触者となった職員の就業は?

5)COVID-19確定症例の対応
・COVID-19と診断された患者の訓練はどのように行うか?
レッドゾーンの中でリハビリテーションを行う際の感染対策は?
・COVID-19と診断された場合、特別な対策が必要な期間は?

 同学会では、指針の利用にあたり「2021年12月での一般論をまとめたものであり、各医療機関内に設定されている感染対策指針がある場合には、そちらが優先される」としている。また、「医療関連感染対策の基本は、すべての職員が、すべての患者・利用者に対して基本的手順を確実に実施することにあり、医療機関ごとに設定された指針を熟知し、それを遵守することが必須である」とし、医療関連感染において、「リハビリテーション診療はハイリスク領域であり、そのことを十分に認識して診療にあたる必要で、医療関連感染対策の推進のため、本指針を役立てて欲しい」と記している。

(ケアネット 稲川 進)