抗原検査の感度は発症4日後にピークを迎え、陰性の場合は1~2日後の再検査で感度が向上することが、米国疾病予防管理センター(CDC)のVictoria T. Chu氏らによる前向きコホート研究で示唆された。新型コロナウイルス感染症の感染経過における家庭での抗原検査とRT-PCRおよびウイルス培養の比較検討結果が、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2022年4月29日号に報告された。
抗原検査の頻度とタイミング、発症後3日間は2日間隔で2回が感度に影響
本研究は、2021年1~5月にカリフォルニア州とコロラド州で実施された。RT-PCRで感染が確認された成人と小児のうち、自己採取の家庭用抗原検査および、RT-PCR、ウイルス培養検査のための鼻咽頭スワブを少なくとも1回提供した人が対象。家庭用抗原検査は2021年3月31日に米国食品医薬品局から緊急使用許可を取得したラテラルフロー検査キット(QuickVue At-Home OTC COVID-19 Test)を使用した。
主要アウトカムは、RT-PCR により確定診断された症例を検出するための抗原検査の1日当たりの感度。副次アウトカムは、抗原検査、RT-PCR、およびウイルス培養の日ごとの陽性率、RT-PCR およびウイルス培養に対する抗原検査の感度とされた。その他、連続抗原検査が感度向上につながるかどうかを判断するため、3つの抗原検査プロトコルの感度を比較した:1回の検査(プロトコル1)、連続した日に2回の検査(プロトコル2)、2日間隔で2回の検査(プロトコル3)。
抗原検査とRT-PCRおよびウイルス培養を比較検討した主な結果は以下の通り。
・RT-PCRにより感染が確認された225人(年齢中央値[範囲]:29[1~83]歳、女性:52%、有症状:91%)を登録し、3,044件の抗原検査テストが実施され、642件の鼻咽頭スワブが採取された。対象者は中央値で15回(四分位範囲:14~15回、範囲:1~17回)の家庭用抗原検査を実施した。
・主要アウトカムであるRT-PCR陽性例に対する抗原検査の全体的な感度は50%(95%信頼区間[CI]:45~55%)であり、特異度は97%(95%CI:95~98%)だった。
・同日採取検体のRT-PCRに対する抗原検査の感度は64%(95%CI:56~70%)、ウイルス培養に対しては84%(95%CI:75~90%)だった。
・各検査の感度のピークは、RT-PCRで95%(発症3日後)、抗原検査で77%(発症4日後)、ウイルス培養で64%(発症2日後)だった。
・発症から6日後の抗原検査の感度は61%だった。
・自宅での抗原検査の頻度とタイミングは、症例検出の感度に影響を与えた。発症後3日間は、2日間隔で2回の抗原検査を実施する(プロトコル3)ほうが、連日2回の検査(プロトコル2)や1回の検査(プロトコル1)よりも感度が高かった。連続検査プロトコル(プロトコル2および3)は、発症後14日間を通して1回の検査(プロトコル1)よりも感度が高く、発症後3日間でその差が最も大きくなった。ピーク時の感度は、プロトコル2(81%)、プロトコル1(77%)と比較して、プロトコル3が最も高かった(85%)。
著者らは、家庭用抗原検査の感度はRT-PCRと比較して中程度、ウイルス培養と比較して高いことが示唆されたとし、結果が初回陰性の有症者は、感度が発症数日後にピークに達し、検査の繰り返しにより改善することから、1~2日後に再度検査することが望ましいとしている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)