HER2陽性の胆道がんにT-DXdが有効性示す(HERB)/ASCO2022

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/06/21

 

 HER2陽性の切除不能または再発の胆道がん(BTC)に対する抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の有効性が日本で行われた医師主導第II相試験であるHERB試験で示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が同試験の初回解析結果を発表した。

・対象:ゲムシタビンを含むレジメンに抵抗性のHER2陽性または弱陽性切除不能・再発BTC
(HER2陽性:IHC 3+またはIHC 2+/ISH+と定義し、HER2弱陽性:IHC 0/ISH+、IHC 1+/ISH-、IHC 1+/ISH+、IHC 2+/ISH-のいずれか)
・介入:T-DXd 5.4mg/kg 3週間ごと病勢進行まで投与
・評価項目:
[主要評価項目] HER2陽性群における中央判定による奏効率(ORR)
[副次評価項目] 主治医判定によるHER2陽性群とHER2弱陽性群のORR、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・2019年3月〜2020年3月に296例がスクリーニングされた。
・20.6%(61例)がHER2陽性、40.5%(120例)がHER2弱陽性で、HER2陰性は38.9%であった。
・HER2陽性24例とHER2弱陽性の8例が適格基準合致し、試験に登録された。HER2陽性のうち2例が除外となり、30例が主解析対象となった。
・HER2陽性22例のうち、IHC 3+が45.5%、IHC 2+/ISH+が54.5%であり、原発部位は胆嚢が50%、肝外胆管が27.3%、肝内胆管が13.6%であった。前治療のレジメン数は2以上が72.2%を占めていた。
・中央判定によるHER2陽性群のORRはCR9%を含む36.4%(90%信頼区間[CI]:19.6~56.1)で、p=0.01と有意な改善が認められた。
・主治医判定によるHER2陽性群のORRは36.4%(95%CI:17.2~59.3)で、HER2弱陽性群のORRは12.5%(95%CI:0.3~52.7)であった。
・観察期間中央値7.1ヵ月時点でのPFS中央値は、HER2陽性群で5.1ヵ月、6ヵ月時のPFS率は40.9%であり、HER2弱陽性群では中央値3.5ヵ月で、6ヵ月時PFS率は0%であった。
・OS中央値は、HER2陽性群で7.1ヵ月、HER2弱陽性群では8.9ヵ月であった。6ヵ月時OS率はそれぞれ63.6%と75.0%だった。
・試験に登録された全症例32例の安全性評価では、Grade3以上の有害事象で多く認められたのは、貧血53.1%、好中球減少31.3%、白血球減少31.3%であった。また、8例(25.0%)に間質性肺疾患が報告され、うち4例はGrade3以上であった。ILD発症までの期間中央値は124日であった。

(ケアネット)