転移尿路上皮がんに対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法は有用である可能性(COSMIC 021)/ASCO 2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/27

 

 転移のある手術不能の尿路上皮がん(mUC)に対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法の有効性と安全性の初期データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta Pal氏より報告された。

 これは、前立腺がんや腎がん、肺がんなども対象にしたカボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法の国際共同の第I相b試験COSMIC-021の結果で、今回はmUCの3つのコホートの解析結果である。

・対象:未治療のmUCである下記の3つのコホート
 コホート3:シスプラチン不適応の症例(30例:C3)
 コホート4:シスプラチンに適応の症例(30例:C4)
 コホート5:免疫チェックポイント阻害剤既治療でチロシンキナーゼ阻害剤未治療の症例(31例:C5)
・介入:カボザンチニブ40mg/日連日+アテゾリズマブ1,200mg 3週ごと
・評価項目:
 [主要評価項目]主治医判定による奏効率(ORR)
 [副次評価項目]安全性
 [探索的評価項目]奏功期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)

 主な結果は以下のとおり。

・2021年11月時点での追跡期間中央値は、C3で27.9ヵ月、C4、C5でそれぞれ19.1ヵ月と32.9ヵ月であった。
・ORRはC3で20%(CR3%を含む)、C4で30%(CR7%)、C5で10%(CRなし)であった。
・DoR中央値は、C3で7.1ヵ月、C4で未到達、C5で4.1ヵ月であった。
・PFS中央値は、C3で5.6ヵ月、C4で7.8ヵ月、C5で3.0ヵ月であった。
・OS中央値は、C3で14.3ヵ月、C4で13.5ヵ月、C5で8.2ヵ月であった。
・有害事象によるカボザンチニブの減量はC3で43%に、C4で27%に、C5では35%に認められた。同様にアテゾリズマブの投与延期は、それぞれ63%、40%、52%に認められた。
・治療関連の有害事象で両剤とも投与中止となったのは、C3で13%、C4で17%、C5で19%であった。
・Grade3以上の有害事象は、C3で63%に、C4で43%に、C5で45%に発現した。Grade3以上の全身倦怠感はC3で3%、C4で3%、C5で6%、有症候性肝炎はそれぞれ0%、7%、3%、膵炎は13%、10%、6%であった。

(ケアネット)

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