大腸がんのFOLFIRI+パニツムマブ、休薬期間で皮膚毒性を軽減(IMPROVE)/ASCO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/05

 

 RAS/BRAF野生型の転移のある大腸がん(mCRC)に対するFOLFIRI+パニツムマブ併用療法において、計画的な休薬期間を入れることで毒性を抑えつつ、継続療法と比較して同等以上の有効性があることが新たな試験で示された。イタリアのFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのAntonio Avallone氏が第II相IMPROVE試験について、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 抗EGFR抗体薬+FOLFIRIの継続投与は、RAS/BRAF野生型mCRC患者の標準治療の1つだが、薬剤耐性や治療関連毒性によって継続投与が困難な患者が存在する。本試験はFOLFIRIへのセツキシマブの上乗せ効果を検討したCRYSTAL試験の結果に基づき、病状進行の確率を検証するためにデザインされたもので、正式な直接比較は計画されていなかった。

・対象:切除不能で前治療歴のあるRAS/BRAF野生型mCRC患者(PS 0~2)。
試験群:FOLFIRI/パニツムマブを8サイクル投与後、病勢進行まで休薬。再開後は初回同様に最大8サイクルまで投与。
対照群:同レジメンを病勢進行まで継続投与。
腫瘍の評価は両群とも8週間ごとに行われた。
・評価項目:
[主要評価項目]1年後の治療中における無増悪生存期間(PFSOT)
[副次評価項目]安全性、QOL、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)

 主な結果は以下のとおり。

・2018年5月~2021年6月までに137例が登録された(試験群68例/対照群69例)。男性60/59%、年齢中央値66/62歳、PS 0 72/84%、アジュバント治療歴31/22%だった。
・追跡期間中央値20ヵ月(IQR:13~29)において、PFSOT中央値は試験群17.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.3~24.9)/対照群13.2ヵ月(95%CI:9.6~16.8)、1年後のPFS率は60.8%/52.1%だった。
・1年後の治療継続率は試験群37%/対照群10%、ORRは57%/66%だった。
・主なGrade3/4の有害事象は、皮膚関連が試験群13%対照群25%と差がつき、好中球減少症24/23%、下痢15/13%などは同等だった。

 Avallone氏は、「間隔投与によって皮膚毒性を軽減しながら長いPFSを達成することができた。COVID-19感染流行下における新たな治療戦略として期待できる。これらのデータは第III相試験でさらに検討する価値がある」と述べた。

(ケアネット 杉崎 真名)

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