医療者のコロナ感染リスク、着用マスクや累積曝露時間による

提供元:ケアネット

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公開日:2022/09/01

 

 COVID-19患者との接触機会の多い医療従事者の感染予防に、サージカルマスクよりレスピレーターマスク(FFP2、N95やDS2に相当)が有用であることが示唆されているが、科学的エビデンスは少ない。今回、スイス・Cantonal Hospital St. GallenのTamara Dorr氏らの医療従事者を対象としたコホート研究で、レスピレーターマスク使用がサージカルマスク使用より感染リスクが40%以上低くなること、COVID-19患者への累積曝露時間と感染リスクに用量反応関係があることが示唆された。JAMA Network Open誌2022年8月15日号に掲載。

 本コホート研究の対象は、スイス北部および東部の7つの医療ネットワークに所属する医療従事者で、2020年9月から週1回12ヵ月間、症状に基づいた鼻咽頭スワブの検査結果、曝露、リスク行動について報告した。2021年9月に過去1年間にエアロゾル産生手技以外でCOVID-19患者との接触時に使用したマスクの種類(サージカルマスクのみ/レスピレーターマスクのみ/両方)を申告した。COVID-19患者への累積曝露時間は、自己申告による患者との接触回数と平均接触時間を掛けた。ベースライン時、2021年1月、同9月に抗ヌクレオカプシド抗体のスクリーニング検査を実施した。主要評価項目は、追跡調査中の新型コロナウイルス感染(自己申告による鼻咽頭スワブ陽性または抗ヌクレオカプシド抗体陽転、もしくはその両方)とし、累積曝露時間の倍加当たりの陽性率増加のオッズ比(OR)をレスピレーターマスクのみ使用した医療従事者とサージカルマスクのみまたは両方を使用した医療従事者に分けて算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象の医療従事者2,919人(年齢中央値:43歳、範囲:18~73歳)のうち、749人(26%)が新型コロナウイルスに感染していた。
・新型コロナウイルス陽性率は、患者との接触がない医療従事者で13%だった。接触がある医療従事者では、レスピレーターマスクのみ使用した人が21%、サージカルマスクのみ/両方使用した人が35%で(OR:0.49、95%CI:0.39~0.61)、両群とも累積曝露時間が増えるに従って陽性率が増加した。
・多変量解析では、家庭内接触あり(OR:7.79、95%CI:5.98~10.15)、COVID-19患者への曝露(累積曝露時間のカテゴリーごとのOR:1.20、95%CI:1.14~1.26)、レスピレーターマスクの使用(OR:0.56、95%CI:0.43~0.74)、ワクチン接種(OR:0.55、95%CI:0.41~0.74)が関連していた。

 本研究では、医療従事者の新型コロナウイルス陽性率はCOVID-19患者の累積曝露時間と関連していた。また、今回の結果から、COVID-19患者に接触する医療従事者の業務関連リスクが、レスピレーターマスクの使用とワクチン接種により大幅に減少する可能性が示唆された。

(ケアネット 金沢 浩子)