米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、統合失調症または双極性障害に関連する興奮症状を伴う成人患者において、デクスメデトミジンの臨床的有効性および忍容性を評価するため、治療必要数(NNT)、有害必要数(NNH)、likelihood to be helped or harmed(LHH)を用いた評価を行った。その結果、統合失調症または双極性障害に関連する急性興奮症状に対し、デクスメデトミジン舌下投与は良好なベネフィット-リスクプロファイルを有する治療であることが確認された。Advances in Therapy誌オンライン版2022年8月24日号の報告。
統合失調症または双極性障害の成人患者を対象にデクスメデトミジン舌下投与を評価した、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のデータの事後分析を行った。治療反応は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)-Excited Component(PANSS-EC)のベースラインからの変化量40%以上と定義した。忍容性の評価は、有害事象の発生率とした。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症または双極性障害患者に対するデクスメデトミジン舌下投与後2時間において、プラセボと比較したPANSS-ECによる治療反応のためのNNTは、それぞれ以下のとおりであった。
【統合失調症】
●デクスメデトミジン120μg(NNT:3、95%CI:3~4、129例)
●デクスメデトミジン180μg(NNT:3、95%CI:2~3、125例)
【双極性障害】
●デクスメデトミジン120μg(NNT:4、95%CI:3~6、126例)
●デクスメデトミジン180μg(NNT:3、95%CI:2~3、126例)
・プラセボと比較したNNHは、眠気を除くすべての有害事象において10を超えていた。
・統合失調症および双極性障害におけるいずれの用量においても、NNHは7(95%CI:5~10)であった。
・有効性と忍容性のアウトカムについて、すべてのケースにおいてLHHは1を超えていた。
(鷹野 敦夫)