双極性障害と統合失調症患者の興奮症状の特徴 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/05/17 興奮症状は、内的な緊張や不安から暴力、攻撃性に至るまでの症状を含む、双極性障害や統合失調症にみられる共通の症状である。これまでの文献の多くは、急性の興奮症状に焦点を当てており、患者の体験に関しては不十分であった。英国・Adelphi Real WorldのJenna Roberts氏らは、コミュニティに焦点を当て、患者視点の興奮症状の特徴とそのマネジメントに関して調査を行った。BMC psychiatry誌2018年4月16日号の報告。 対象患者は、ドイツ、スペイン、英国における興奮エピソードを経験した統合失調症または双極性障害の住民583例。患者募集は、医師または患者支援グループを通じて行った。本調査では、人口統計、疾患の特徴、興奮エピソードの頻度、軽度から重度までの事前に定義した重症度レベル、エピソード中に経験した症状、興奮の自覚、患者自身による対処法に関する情報を収集し、記述統計を用いてデータの性質を調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・興奮エピソード中に最も一般的に報告された症状は、不安(373例、64%)、不穏(368例、63%)、緊張(368例、63%)であった。 ・過去12年間に患者が経験した平均エピソード回数は、軽度22.4回(SD:57.2)、中等度15.4回(SD:61.2)、重度2.9回(SD:24.4)であり、通院が必要であった回数は、平均2.7回(SD:6.8)であった。 ・興奮症状のため通院が必要であった患者は、約半数(313例)であった。 ・全体として、興奮症状を常にまたは時々経験していると認識していた患者は、71%(412例)、そのきっかけを認識していた患者は、61%(347例)であった。 ・大部分の患者(329例、56%)は、時々興奮症状をコントロールできると報告していたが、患者の16%(94例)は、通常何もできないと報告していた。 ・エピソードに対処するため処方薬を服用していると報告した患者は、統合失調症患者の55%(125例)、双極性障害患者の66%(234例)であった。 著者らは「コニュニティベースの統合失調症および双極性障害の患者は、不安、不穏、緊張のような、最も一般的に定義される興奮エピソードを頻繁に経験していると報告している。さまざまな対処法が報告されているが、必ずしもうまくいっているとは限らず、このような患者にとって重要なアンメットニーズである」としている。 ■関連記事 精神疾患患者の激越症状に対する新旧治療戦略 統合失調症、双極性障害の急性期興奮状態に対する治療:アリピプラゾール筋注に関するコンセンサス・ステートメント(英国) 認知症患者の興奮症状に対し、抗精神病薬をどう使う (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Roberts J, et al. BMC Psychiatry. 2018;18:104. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 日本人統合失調症、暴力行為の危険因子は:千葉大 医療一般 日本発エビデンス(2014/12/22) 統合失調症患者の不安症状はしばしば軽視されている 医療一般(2015/12/01) うつ病から双極性障害や統合失調症への移行~15年間のプロスペクティブ研究 医療一般(2020/06/11) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 多剤耐性結核の家庭内曝露小児、予防的レボフロキサシン投与は有効か/NEJM(2025/01/15) qSOFAによる敗血症アラートで院内死亡率が低下/JAMA(2025/01/15) 日本初、認知症診療支援のための神経心理検査用プログラム発売(2025/01/15) コーヒーを飲むなら朝が良い?/Eur Heart J(2025/01/15) 自閉スペクトラム症と歯ぎしりとの関連〜エコチル調査(2025/01/15) 2025年に医師会が掲げる4つの課題/日医(2025/01/15) 高腫瘍量濾胞性リンパ腫1次治療に対するモスネツズマブ皮下注の評価(MITHIC-FL1)/ASH2024(2025/01/15) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)