オシメルチニブの1次治療耐性でMET増幅を呈する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、オシメルチニブとMET-TKIであるテポチニブとの併用による有効性が示された。
MET増幅はオシメルチニブ耐性NSCLCの15〜30%を占める。この集団では治療選択肢が化学療法しかないため、臨床的なニーズは大きい。テポチニブはMET増幅によるオシメルチニブ耐性NSCLCにおいてTKIとの併用で効果を示すという報告がある。
欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)では、オシメルチニブ1次治療に耐性となったMET増幅NSCLCに対し、テポチニブ・オシメルチニブ併用を評価した、オープンラベル比較第II相試験INSIGHT 2の中間解析が、フランス・トゥールーズ大学のJulien Mazieres氏から報告された。今回は初回解析として、9ヵ月以上追跡した患者の結果が紹介されている。
・対象:オシメルチニブの1次治療が耐性となり、組織または血液検体でMET増幅が検出されたNSCLC
・試験群:オシメルチニブ80mg/日+テポチニブ500mg/日 連日(88例)
・対照群:テポチニブ500mg/日 連日(12例)
・評価項目:
[主要評価項目]FISH(組織)でMET増幅を同定された患者に対する独立判定委員会評価(IRC)によるオシメルチニブ+テポチニブの奏効率(ORR)
[副次評価項目]NGS(血液)でMET増幅を同定された患者に対するIRC評価のオシメルチニブ+テポチニブのORR、FISHでMET増幅を同定された患者に対するIRC評価のテポチニブのORR
主な結果は以下のとおり。
・MET増幅はスクリーニング患者中36%(153/425例)で検出された。
・9ヵ月以上追跡したFISH同定例のIRC評価によるオシメルチニブ+テポチニブのORRは54.5%であった。
・一方、FISH同定例のIRC評価によるテポチニブ単独(6ヵ月以上追跡)のORRは8.3%であった。
・FISH同定例におけるオシメルチニブ+テポチニブの奏効期間中央値は未到達であった。
・オシメルチニブ+テポチニブの安全性は、それぞれの薬剤の単剤でのプロファイルと一貫していた。
・同併用の治療関連有害事象(TRAE)発現は全Gradeで73.9%、Grade3以上では23.9%で、頻度の高いものは下痢(40.9%)、末梢浮腫(23.9%)であった。
・減量に至ったTRAEは18.2%(16例)、投与中止に至ったTRAEは6.8%(6例)で発現した。
Mazieres氏は、オシメルチニブの1次治療耐性のMET増幅NSCLCに対し、オシメルチニブとテポチニブの併用は有望な効果を示すことから、化学療法を省略した選択肢となる可能性があると述べている。
(ケアネット 細田 雅之)