切除不能なStage III 非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、1,000例を超える症例のリアルワールドデータでも有効性が示された。
同治療は第III相PACIFIC試験で有用性が証明され、標準療法として確立されている。一方、実臨床での有用性についての検討が望まれていた。そのような中、リアルワールドの無増悪生存期間(rwPFS)を評価したPACIFIC-R観察研究の結果がJournal of Thoracic Oncology誌で発表された。
PACIFIC-R研究は、2017年9月〜2018年12月に、デュルバルマブの地固め療法(10mg/kg 2週ごと)を開始した患者を対象とした、進行中の国際後ろ向き研究。主要評価項目は治験責任医師評価のrwPFSと全生存期間(OS)である。
主な結果は以下のとおり。
・2020年11月30日の時点で、11ヵ国1,399例が分析対象となった。
・追跡期間中央値は23.5ヵ月であった。
・デュルバルマブの投与期間11.0ヵ月における、rwPFS中央値は21.7ヵ月であった。
・同時CRTと逐次CRT別のrwPFSを見ると、同時CRTでは23.7ヵ月、逐次CRTでは19.3ヵ月、と同時CRT群で長かった。
・PD-L1発現別のrwPFSを見ると、1%以上では22.4ヵ月、1%未満では15.6ヵ月、とPD-L1≧1%群で高かった。
・治療中止に至る有害事象は16.5%、そのうち肺炎/間質性肺疾患による治療中止は9.5%であった。
切除不能Stage III NSCLCに対するデュルバルマブのCRT後地固め療法は、リアルワールドコホート研究においても有効性を示した。
(ケアネット 細田 雅之)