片頭痛に対する有酸素運動や筋トレの有効性~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/29

 

 いくつかの臨床試験において、片頭痛のマネジメントに対するさまざまな運動プロトコールを用いた介入の有効性が報告されている。しかし、それぞれの運動介入による有効性を直接比較した研究はほとんどない。米国・スタンフォード大学のYohannes W. Woldeamanuel氏らは、1ヵ月当たりの片頭痛回数の減少に対し運動介入の有効性を評価した臨床試験を含めた、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、筋力トレーニングは片頭痛の軽減に最も有効な運動介入であり、高強度の有酸素運動がそれに次ぐことが報告された。The Journal of Headache and Pain誌2022年10月13日号の報告。

 2022年7月30日までに公表された文献をWeb of Science、PubMed、Scopusなどのデータベースより検索した。運動プロトコールには、有酸素運動と筋力/レジスタンストレーニングの両方を含めた。アウトカムの指標として、介入群と対照群におけるベースラインから介入終了までの1ヵ月当たりの片頭痛回数の平均差(MD)および95%信頼区間(CI)を用いた。直接的および間接的な比較による有効性のエビデンスは、ランダム効果モデルネットワークメタ解析により統合した。中強度の有酸素運動、高強度の有酸素運動、筋力/レジスタンストレーニングの3つの運動プロトコールについて、有効性の比較を行った。本研究には、片頭痛治療薬(トピラマート、アミトリプチリン)と運動介入の有効性を比較した研究も含めた。バイアスリスクの評価には、Cochrane Risk of Bias version 2(RoB2)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・21研究より、片頭痛患者1,195例(平均年齢:35歳、男女比:1:6.7)が抽出された。
・ペアワイズ比較27回および間接比較8回を行った。
・介入効果は、以下の順で認められた。
 ●筋力トレーニング(MD:-3.55、95%CI:-6.15~-0.95)
 ●高強度の有酸素運動(MD:-3.13、95%CI:-5.28~-0.97)
 ●中強度の有酸素運動(MD:-2.18、95%CI:-3.25~-1.11)
 ●トピラマート(MD:-0.98、95%CI:-4.16~2.20)
 ●プラセボ
 ●アミトリプチリン(MD:3.82、95%CI:-1.03~8.68)
・RoB2の評価では、対象研究の85%はバイアスリスクが低く、ITT解析のバイアスリスクが高かったのは15%であった。
・バイアスリスクが高い要因として、ランダム化のプロセスおよびアウトカムデータ処理の欠落が含まれていた。

(鷹野 敦夫)