2023年の春は「10年に1度」と言われるくらい花粉の飛散が予測され、連日、天気予報では大量飛散の注意を伝えている。花粉症関連の市販薬や花粉予防グッズの売り上げが伸びている中で、患者はどのように感じ、備えや治療を行っているのであろうか。株式会社アイスタットは2月8日に「花粉症」に関するアンケートを行った。
アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の首都圏在住の会員20~59歳の300人が対象。
■調査概要
形式:WEBアンケート方式
調査期間:2023年2月8日
回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している300人(20~59歳、東京・神奈川・千葉・埼玉居住の会員)
■アンケート概要
・花粉症の人は5割を超える。そのうち、花粉症歴が「長い」は24%、「中間」は14%、「短い」は14.3%
・花粉症の重症度は「重症」が5.7%、「中等症」が47.8%、「軽症」が46.5%
・花粉症治療の受診状況は、「医療機関に1度も受診したことがない」が最多で5割近く
・医療機関を毎年受診しない理由の第1位は「費用がかかる」、第2位は「面倒」
・「花粉症歴が長い」「重症・中等症」の人ほど「花粉が飛び始める1~2ヵ月前」に対策
・花粉症の3大症状の「鼻水」「くしゃみ」「目のかゆみ・痛み・涙」は70%以上
・花粉症対策として購入しているもの第1位は「市販の飲み薬」、第2位は「市販の目薬」
・花粉症の症状は、「遺伝・体質」より「自律神経の乱れ」「生活習慣が不規則」のほうが影響している
■花粉症患者が医療機関に行かない理由の第1位は経済的理由
質問1で「花粉症と自覚した時期」(単回答)について聞いたところ、「現在花粉症でない」が47.7%、「長い(20年以上)」が24.0%、「短い(10年未満)」が14.3%、「中間(10年以上~20年未満)」が14.0%の順だった。また、年代別では、「花粉症である」を回答した人は40代で最も多く、「花粉症でない」と回答した人は50代で最も多かった。
質問2で(花粉症未発症、寛解を除いた)花粉症患者157人に「自己診断で花粉症の重症度」(単回答)について聞いたところ、「中等症」が47.8%、「軽症」が46.5%、「重症」が5.7%の順で続いた。また、年代別では「重症」「軽症」と回答した人は「20・30代」で最も多く、「中等症」と回答した人は「50代」で最も多かった。
質問3で質問2で回答した157人に「花粉症の治療のための医療機関受診の有無」(単回答)について聞いたところ、「1度も受診したことがない」が49%、「その年の症状により受診」が35%、「毎年、受診している」が15.9%と続き、約半数の人に受診経験がない結果だった。また、花粉症の重症度別では、「重症・中等症」の人ほど「毎年、受診」「その年の症状により受診」が多く、「軽症」の人ほど「受診したことがない」が多い結果だった。
質問4で質問3で「毎年、受診しない」以外を回答した132人に「花粉症の治療のために医療機関を毎年受診しない理由」(複数回答)について聞いたところ、「費用(診察代)がかかる」が46.2%、「面倒」が34.1%、「市販の薬で十分」が30.3%、「待ち時間が長い、混んでいる」が25.8%の順で回答が多かった。
質問5で「いつ頃から花粉症対策を始めているか」(単回答)について聞いたところ、「特に何も対策していない」が51%、「花粉症が飛び始めてから」が19.7%、「花粉症の症状が出てから」が15%、「花粉症が飛び始める1~2ヵ月前」が10.7%の順で多かった。また、花粉症歴別・重症度別でみると、花粉症歴が長い人および症状が重症・中等症の人ほど「花粉が飛び始める1~2ヵ月前」に花粉症対策を行っていた。
質問6で「花粉症になったことがない」以外を回答した173人に「花粉症対策ですでに試したことのある療法、もしくは花粉症の有無に関わらず今後試してみたい療法」(複数回答)について聞いたところ、「対症療法」が56.6%と1番多かった一方で、「特になし」も34.7%と2番目に多かった。最近、医療機関でなされている「原因療法」は10.4%、「舌下免疫療法」は8.7%だった。
質問7で「花粉症である」と回答した157人に「花粉症の症状」(複数回答)について聞いたところ「鼻水」が80.3%、「くしゃみ」が76.4%、「目のかゆみ・痛み・涙」が72%と多く、いわゆる「花粉症の3大症状」が上位を占めた。また、花粉症の重症度別では、すべての症状で「重症・中等症」の人が多い結果だった。
質問8で「花粉症である」と回答した157人に「花粉症対策として、購入しているもの(処方箋薬は除く)」(複数回答)について聞いたところ、「市販の飲み薬」が45.9%、「市販の目薬」が43.9%、「市販の点鼻薬」が20.4%と多かった。また、上位には「緩和・ケア対策」、下位には「外出対策」の購入品の内容が占めた。
質問9で「花粉症の症状に影響するもの」(複数回答)について聞いたところ、多い順に以下の通りとなった。
・1位「家の中・室内の花粉対策をしていない」(24.0%)
・2位「親・兄弟が花粉症やアレルギー体質である」(23.7%)
・2位「衣類・布団・布製品の花粉症対策をしていない」(23.7%)
・4位「外出時の花粉対策をしていない」(19.0%)
・5位「花粉症に効果がある食事をしていない」(18.7%)
また、症状が「重症・中等症の人(84人)」の中では「過労、ストレスによる自律神経の乱れがある」が29.8%で最も多く、「軽症の人(73人)」の中では「親・兄弟が花粉症やアレルギー体質である」が35.6%で最も多く、「なったことはない人(143人)」の中では「あてはまるものはない」が51%で最も多かった。
(ケアネット 稲川 進)