PTSDやうつ病に対するドパミンD2受容体遺伝子変異の影響~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/03/21

 

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)およびうつ病のリスク因子として、ドパミンD2受容体遺伝子の変異が多くの研究で評価されているが、その結果は一貫していない。中国・北京林業大学のXueying Zhang氏らは、ドパミンD2受容体遺伝子変異とPTSDおよびうつ病リスクとの関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、ドパミンD2受容体遺伝子の変異は、PTSDおよびうつ病の遺伝的な感受性に潜在的な影響を及ぼしている可能性が示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年2月4日号の報告。

 2021年までの文献を、Web of Science、PubMed、Google Scholar、Excerpta Medica Database(EMBASE)、Springer、ScienceDirect、Wiley Online Library、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Chinese Biomedical Literature Database (CBM)、WANFANG Data、CQVIP、Chinese National Knowledge Infrastructure(CNKI)よりシステマティックに検索した。

 主な結果は以下のとおり。

・ドパミンD2受容体遺伝子の27の遺伝子変異が収集され、それらのうち選択基準を満たした7つをメタ解析に含めた。
・メタ解析では、rs1800497(TaqIA)多型がPTSDのリスク増加と有意に関連していることが示唆された(優性モデルA1A1+A1A2 vs.A2A2[オッズ比[OR]:1.49、95%信頼区間[CI]:1.08~2.04、Z=2.46、p=0.014])。
・人種によるサブグループ解析では、アジア人(優性モデルA1A1+A1A2 vs.A2A2[OR:1.39、95%CI:1.08~1.79、Z=2.60、p=0.009])と白人(優性モデルA1A1+A1A2 vs.A2A2[OR:1.87、95%CI:1.02~3.41、Z=2.04、p=0.042])において、PTSDリスクの有意な増加が観察された。
・うつ病とドパミンD2受容体遺伝子の関連については、rs1799978(ホモ接合型の比較GG vs.AA[OR:0.60、95%CI:0.37~0.97、Z=2.08、p=0.038])とrs2075652(ホモ接合型の比較AA vs.GG[OR:1.82、95%CI:1.32~2.50、Z=3.67、p<0.001])多型の間に有意な関連の強固性が検出された。
・累積メタ解析では、PTSDおよびうつ病の関連の強固性に、継続的な傾向が認められた。
・PTSDおよびうつ病のリスク因子としてドパミンD2受容体遺伝子の変異を用いるためには、適切に設計された大規模ケースコントロール研究でさらに検証する必要がある。

(鷹野 敦夫)