世界保健機関(WHO)は3月28日付のリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種ガイダンスを改訂したことを発表した。今回の改訂は、同機関の予防接種に関する専門家戦略アドバイザリーグループ(SAGE)が3月20~23日に開催した会議を受け、オミクロン株流行期の現在において、ワクチンや感染、またはハイブリッド免疫によって、世界的にすべての年齢層でSARS-CoV-2の抗体保有率が増加していることが考慮されたものとなる。SARS-CoV-2感染による死亡や重症化のリスクが最も高い集団を守ることを優先し、レジリエンスのある保健システムを維持することに重点を置いた、新たなロードマップが提示された。
今回発表された新型コロナワクチン接種のロードマップでは、健康な小児や青年といった低リスク者に対するワクチン接種の費用対効果について検討されたほか、追加接種の間隔に関する推奨などが含まれている。
改訂の主な内容は以下のとおり。
・ワクチン接種の優先度順に、高・中・低の3つグループを設定した。
・高優先度群には、高齢者、糖尿病や心臓病などの重大な基礎疾患のある若年者、生後6ヵ月以上のHIV感染者や移植患者などの免疫不全者、妊婦、最前線の医療従事者が含まれる。この群に対して、ワクチンの最終接種から6~12ヵ月後に追加接種することを推奨している。
・中優先度群には、健康な成人(50~60歳未満で基礎疾患のない者)と、基礎疾患のある小児と青年が含まれる。この群に対して、1次接種(初回シリーズ)と初回の追加接種を奨励している。
・低優先度群には、生後6ヵ月~17歳の健康な小児と青年が含まれる。この群に対する新型コロナワクチンの1次接種と追加接種の安全性と有効性は確認されている。しかし、ロタウイルスや麻疹、肺炎球菌ワクチンなど、以前から小児に必須のワクチンや、中~高優先度群への新型コロナワクチンの確立されたベネフィットと比較すると、健康な小児や青年への新型コロナワクチン接種による公衆衛生上の影響は低く、疾病負荷が低いことを考慮して、SAGEはこの年齢層への新型コロナワクチン接種を検討している国に対し、疾病負荷や費用対効果、その他の保健の優先事項や機会費用などの状況要因に基づいて決定するように促している。
・6ヵ月未満の乳児における重症COVID-19の負荷は大きく、妊婦へのワクチン接種は、母親と胎児の両方を保護し、COVID-19による乳児の入院の低減に効果的であるため推奨される。
・SAGEは新型コロナの2価ワクチンに関する推奨事項も更新し、1次接種にBA.5対応2価mRNAワクチンの使用を検討することを推奨している。
(ケアネット 古賀 公子)