睡眠時間のばらつきが双極性障害の再発リスクと関連~APPLEコホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/05/30

 

 双極性障害でみられる睡眠障害は、気分症状と密接に関連しているといわれている。愛知・桶狭間病院の江崎 悠一氏らは、双極性障害患者のアクチグラフによる睡眠パラメータと気分エピソードの再発との関連を調査した。その結果、双極性障害患者の気分エピソードの再発または再燃を予防するための補助療法として、睡眠時間を一定に保つ治療が有用である可能性が示唆された。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年4月24日号の報告。

 日常生活における光曝露と双極性障害の病状との関連を調査したコホート研究「APPLEコホートスタディ」に参加した双極性障害外来患者193例を対象に、分析を行った。対象患者の睡眠状態は、連続7日間にわたりアクチグラフを用いて客観的に評価し、その後2年間にわたり気分エピソードの再発をフォローアップした。睡眠パラメータは、7日間の各睡眠パラメータの平均値と変動性(標準偏差)により評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・193例中110例(57%)においてフォローアップ期間中に気分エピソードが確認された。
・総睡眠時間の変動が大きかった患者は、変動が小さかった患者と比較し、気分エピソードの再発までの平均推定期間が有意に短かった(12.5ヵ月vs.16.8ヵ月、p<0.001)。
・Cox比例ハザードモデルでは、潜在的な交絡因子で調整した後、総睡眠時間の変動性が気分エピソードの再発率の増加と有意に関連していることが明らかとなった(1時間当たりのハザード比[HR]:1.407、95%信頼区間[CI]:1.057~1.873)。再発した主な気分エピソードはうつ病エピソードであった(1時間当たりのHR:1.477、95%CI:1.088~2.006)。

(鷹野 敦夫)