医師の英語学習、どのくらいお金と時間をかけている?/1,000人アンケート

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/18

 

 英語で学会発表を行ったり、外国人患者を診療したりするために、英語は医師にとって欠かせないスキルとなっている。英語を学ぶ主な目的や学習方法といった医師の英語学習状況を把握するため、会員医師1,021人を対象に『医師の英語学習に関するアンケート』を9月21日に実施した。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。その結果、英語学習に最も費用と時間をかけているのは30代であることなどが明らかとなった。海外学会への参加頻度から、おすすめの英語系YouTubeチャンネルや語学学習アプリなど、学習に役立つツールまで、英語学習に関するさまざまな意見が寄せられた。

全体の18%が海外学会に参加

 「Q1. 2022~23年、どれくらい海外学会に参加しましたか?(参加形式は発表・聴講を問わない、オンラインでの参加も含む)」という設問では、年代別に海外学会への参加の実態を聞いた。全体で18%が1回以上参加していた。

 年代別で1回以上の参加率が高い順に、30代(24%)、40代(23%)、20代(17%)、50代(14%)、60代以上(12%)であった。一方、20~50代では、期間中1回の参加の割合が最も多くを占めていたが、60代以上は、3回以上参加した割合が最も多かった(7%)。診療科別の海外学会参加率(1回以上)では、参加率が高い順に、皮膚科(39%)、血液内科(36%)、放射線科(30%)、腎臓内科(29%)、リハビリテーション科(27%)であった。

学ぶ目的、年代が低いほど「研究」、高いほど「臨床」を重視

 「Q2. 医療業務やキャリアアップに関わるもので、英語を学ぶ目的は?(当てはまるものを3つ選択)」の設問では9つの選択肢を設け、多い順に「医学論文を投稿するため」(39%)、僅差で「外国人患者を診療するため」(39%)、続いて「英語の学会発表を聴くため」(31%)、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」(26%)、「英語で学会発表を行うため」(26%)であった。

 学ぶ目的については、年代別で傾向が分かれた。目的別で最も多い年代は、「医学論文を投稿するため」は20代、「英語で学会発表を行うため」は30代、「外国人患者を診療するため」は60代、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」は50代となり、年代が低いほど研究に関わる目的の割合が高く、年齢が高いほど臨床に関わる目的が高くなった。

最も時間とコストをかけているのは30代

 「Q3. 現在行っている英語学習法は?(当てはまるものすべて選択)」では、選択肢を12個設け、多い順に「英語論文を読む」(47%)、「YouTube、Podcast」(21%)、「勤務先の抄読会」(14%)、「市販のテキストやラジオ」(13%)、「英語のドラマや映画、小説」(12%)、「英語学習アプリ」(10%)となった。30代と40代では、「YouTube、Podcast」、「英語学習アプリ」の割合が多く、60代以上では、「市販のテキストやラジオ」、「英語の映画やドラマ、小説」が多かった。

 「Q4. 英語学習に月間かける費用は?」の設問では、費用をかけていない人の割合が71%と大半を占め、次いで「1円以上、5,000円未満」が20%であった。「Q5. 英語を学習する頻度は?」の設問では、学習する習慣のある人が60%であった。学習の頻度は、多い順に「週に1日」(26%)、「週に2、3日」(15%)、「毎日」(10%)、「週に4~6日」(9%)であった。30代が英語学習に費用をかけている割合が最も多く(33%)、学習する習慣のある人も最も多かった(67%)。

おすすめの英語学習法

 Q6では、自由回答として、おすすめの英語学習法やサービス名、そのほか英語学習に関する意見を聞いた。回答者から寄せられた意見、おすすめの学習法、英語系YouTubeチャンネル、語学学習アプリなどは以下のとおり。

【YouTube】
・あいうえおフォニックスは発音や英語表現を簡単にテンポよく解説してくれる。(総合診療科・30代)
・英語学習系YouTuberのタロサック。(総合診療科・30代)
・もりてつという塾講師のYouTubeが参考になる。(総合診療科・40代)
・フレンズ英会話はおすすめです。(腫瘍科・50代)
・Kevin's Englishは楽しいです。(産婦人科・60代)

【アプリ・オンラインツール】
・ChatGPTは活用している。(小児科・40代)
・スピーク、ELSA、mikanというアプリがおすすめ。(放射線科・20代)
・スタディサプリ。(消化器内科・30代)
・NHKの語学講座アプリ。無料で複数回復習ができる。(小児科・40代)
・Duolingo。(皮膚科・40代)
・HiNative(ネイティブにチャットで質問できるアプリ)。(呼吸器内科・40代)
・DMM英会話で毎日外国の人と話し、振り返りをしている。あとはアプリで単語を覚えたり、発音の練習などしている。(循環器内科・30代)

【ニュース】
・ワシントンポストやニューヨークタイムズの動画ニュースを聞く。(小児科・40代)
・CNN English Express。(消化器外科・50代)
・BBCのPodcast。(腎臓内科・30代)

【論文・学会】
・ひたすら論文を書いています。(総合診療科・30代)
・英文抄録を読む。(内科・60代)
・好きなジャンルの講演を聴く。(血液内科・40代)
・NEJMやJAMAのPodcast。(循環器内科・60代)

【その他、独自の工夫】
・IELTSを受けている。(臨床研修医・20代)
・駅で電車を待っている間や、外を歩いているときに英語で独り言を呟いてみる。(消化器内科・40代)
・歌詞を覚えて歌う。(消化器外科・50代)
・子供用アニメは英語がそれほど難しくなくとっつきやすい。(泌尿器科・50代)
・医療系の英語ドラマで、英語の字幕を見ながら英語で聞いて、言葉を復唱する。海外留学の経験からも、これが一番の勉強法だと思います。(内科・50代)

【英語が使えてよかったこと】
・突然海外からの患者が来た時に、対応できるので信頼度が上がる。(小児科・20代)
・英語論文を書く時間がかからない。(整形外科・30代)
・外資系の産業医活動ができた。海外出張に参加できた。(精神科・50代)
・日々の絶え間ない学習が有効とわかったのが良かった。(その他・60代)

アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。
医師の英語学習、おすすめの学習ツールは?/医師1,000人アンケート

(ケアネット 古賀 公子)