エーザイとバイオジェンは12月13日付のプレスリリースにて、アルツハイマー病の新たな治療薬であるヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体のレカネマブ(商品名:レケンビ点滴静注200mg、同500mg)について、薬価基準収載予定日である12月20日より、日本で発売することを発表した。米国に次いで2ヵ国目となる。薬価は200mgが4万5,777円/バイアル、500mgが11万4,443円/バイアル。用法・用量は、10mg/kgを2週間に1回、約1時間かけて点滴静注で、患者が体重50kgの場合、年間約298万円になる。保険適用となり、さらに、治療費が高額になった場合は高額療養費制度も利用できる。
本薬は、2023年9月25日に「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果で製造販売承認を取得し、12月13日の中央社会保険医療協議会総会において、薬価基準収載および最適使用推進ガイドラインが了承された1)。エーザイが本剤の製造販売元として販売を行い、エーザイとバイオジェン・ジャパンが共同販促を行う。
本薬の承認は、エーザイが実施した大規模グローバル臨床第III相試験であるClarity AD試験のデータに基づく。主要評価項目の全般臨床症状の評価指標であるCDR-SBにおいて、18ヵ月時点の臨床症状の悪化をプラセボと比較して27%抑制した。副次評価項目として、患者が自立して生活する能力を介護者が評価する指標のADCS MCI-ADLにおいて、プラセボと比較して37%の統計学的に有意なベネフィットが認められた。なお、投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、Infusion reaction、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)、ARIA-E(浮腫/浸出)、頭痛および転倒であった。本結果は、NEJM誌2023年1月5日号に掲載2)。
本薬の承認条件に従い、一定数の症例データが集積されるまでの間は、投与されたすべての患者を対象に特定使用成績調査(全例調査)が実施される。また両社は、医療関係者に対するアミロイド関連画像異常(ARIA)の管理とモニタリングの推進に向けた研修資材の提供をはじめ、添付文書や最適使用推進ガイドラインに則した適正使用を推進する。
本薬の概要は以下のとおり。
製品名:レケンビ点滴静注200mg、レケンビ点滴静注500mg
一般名:レカネマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果:アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制
用法及び用量:通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。
薬価(12月20日収載予定):200mg 4万5,777円/バイアル、500mg 11万4,443円/バイアル
(ケアネット 古賀 公子)