高リスクのくすぶり型骨髄腫(smoldering multiple myeloma:SMM)に対するダラツムマブ(DARA)導入治療の有用性が示された。
SMMでは治療介入せずに積極的経過観察が推奨されてきたが、症候性の多発性骨髄腫(MM)への進行リスクも懸念されることから、高リスクSMMに対する治療介入の可能性が示唆されている。
CD38標的モノクローナル抗体であるDARAは、再発/難治MM(R/R MM)への有用性が示されている。DARAが積極的経過観察と比較してSMMからMMへの進行を遅らせることができるかを検討した。第III相AQUILA試験の中間解析結果が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表された。
・対象:診断されてから5年以内の高リスクSMM患者
・試験群:ダラツムマブ(サイクル1および2は毎週、サイクル3~6は2週ごと、それ以降は4週ごと)4週1サイクルを39サイクル、36ヵ月または疾患進行まで(DARA群、194例)
・対照群:積積極的経過観察(196例)
・評価項目
【主要評価項目】独立審査委員会評価(IRC)評価の無増悪生存期間(PFS)※PFSはIMWGのSLiM-CRAB基準による
【副次評価項目】全奏効率(ORR)、MMの1次治療までの期間、MM1次治療におけるPFS(PFS2)、全生存期間(OS)など
主な結果は以下のとおり。
・追跡中央値65.2ヵ月のPFS中央値はDARA群未到達に対し、積積極的経過観察は41.5ヵ月で、DARAで有意に改善した(HR:0.49、95% CI:0.36〜0.67、p<0.0001)。推定60ヵ月PFS率はDARA群 63.1%、積極的経過観察40.8%であった。
・ORRはDARA群63.4%、積極的経過観察2.0% であった(p<0.0001)。
・OS中央値は両群とも未到達、60ヵ月OS割合はDARA群93.0%、積極的経過観察86.9%であった(HR:0.52、95%CI:0.27〜0.98)
・死亡はDARA群15例(7.7%)、モニタリング群26例(13.3%)であった。
・ランダム化からMM1次治療までの期間中央値は、DARA未到達に対し、積極的経過観察は50.2ヵ月であった(HR:0.46、95%CI:0.33〜0.62、名目p<0.0001)。
・Grade3/4 の治療関連有害事象 (TEAE) は、DARA群の40.4%、積極的経過観察群の30.1%に発生した。頻度の高い (≧5%) Grade3/4のTEAEは高血圧 (DARA群5.7%、積極的経過観察群4.6%)であった。
・DARA群において投与中止に至ったTEAEの発現は5.7%であった。
(ケアネット 細田 雅之)