自閉スペクトラム症と歯ぎしりとの関連〜エコチル調査

提供元:ケアネット

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公開日:2025/01/15

 

 自閉スペクトラム症(ASD)患者では、咀嚼筋の不随意運動による歯ぎしりがしばしばみられる。歯ぎしりは睡眠障害とも関連しており、乳児の睡眠時間が、歯ぎしりの発症に関連しているかは、よくわかっていない。東北福祉大学の土谷 昌広氏らは、新生児期の短時間睡眠と歯ぎしりとの関連を評価するため、調査を行った。PLOS ONE誌2024年12月6日号の報告。

 全国的な出生コホート研究である「子どもの健康と環境に関する全国調査(JECS)」より、8万3,720人のデータを用いて、検討を行った。母親と子どもに関連するいくつかの変数を調整したロジスティック回帰分析を用いて、多重代入法を行った。新生児期の短時間睡眠と母親が報告したASDの子どもの歯ぎしりの有病率との関連を評価した。

 主な内容は以下のとおり。

・ASDの有病率は1.2%、歯ぎしりの有病率は7.2%。
・共変量で調整した後、ASD患者における歯ぎしりの有病率増加のオッズ比は1.59(95%信頼区間[CI]:1.31〜1.94)であった。
・生後1ヵ月の新生児期における短時間睡眠は、ASD患者の歯ぎしりの有病率増加と有意な関連が認められた。

 著者らは「ASD児に頻繁にみられる歯ぎしりの発生率増加は、とくに新生児期における短時間睡眠と関連していることが示唆された。ASD患者の歯ぎしりの発症をより理解することは、口腔疾患の予防にも有用であろう」としている。

(鷹野 敦夫)