T1cN0M0のHER2+乳がん患者において、術前補助療法は術後補助療法と同等の全生存期間(OS)および乳がん特異的生存期間(BCSS)を示したことを、中国・ハルビン医科大学のXuelian Wang氏らが明らかにした。これまで、腫瘍径が小さく、リンパ節転移のないHER2+乳がん患者おける術前補助療法の術後補助療法に対する優位性については議論が続いていた。Cancer誌2025年1月1日号掲載の報告。
研究グループは、米国・Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースから、2010~20年に化学療法と手術を受けたT1cN0M0のHER2+乳がん患者のデータを抽出した。傾向スコアマッチングにより、術前補助療法群と術後補助療法群の背景因子が一致するコホートを作成した。術前補助療法群と術後補助療法群のOSとBCSSを、カプランマイヤー法とCox比例ハザードモデルによって解析した。さらに、ロジスティック回帰モデルを使用して、術前補助療法に対する病理学的完全奏効(pCR)の予測因子を探索した。
主な結果は以下のとおり。
●バランスのとれた2,140組が傾向スコアマッチングした。
●術前補助療法群と術後補助療法群のOSおよびBCSSは同等であった。
●術前補助療法後にpCRを達成した場合、術後補助療法群よりもOSおよびBCSSが有意に良好であった。
・OSのハザード比(HR):0.52、95%信頼区間(CI):0.35~0.77、p<0.001
・BCSSのHR:0.60、95%CI:0.37~0.98、p=0.041
●白人患者およびHR-が独立したpCR予測因子であることが明らかになった。
(ケアネット 森)