米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)が発表した「大動脈疾患の診断と管理に関するガイドライン2022年版(2022 ACC/AHA Guideline for the Diagnosis and Management of Aortic Disease)」で、集学的な大動脈疾患治療チームの重要性に焦点を当てた勧告が発表され、「Circulation」12月13日号に掲載された。
米マサチューセッツ総合病院のEric M. Isselbacher氏らは、大動脈疾患患者の診断、遺伝的評価、家族のスクリーニング調査、薬物療法、血管内治療と外科的治療、および長期的なサーベイランスに関するガイドラインを作成するために、2019年5月~9月にPubMed、EMBASE、Cochrane Collaboration、CINHL Completeなどのデータベースの包括的な文献検索を実施した。今回のガイドラインでは、胸部大動脈疾患、末梢動脈疾患および二尖大動脈弁疾患の項目が更新された。概要として、以下のテイクホームメッセージが発表された。
大動脈疾患患者の転帰は、多数の手術症例数の実績に基づいた治療プログラム、高いスキルを持った開業医、多領域にわたる管理能力などによって改善されるため、介入の適切なタイミングを決定する際には、集学的な大動脈疾患治療チームによる治療を検討すべきである。
最適な内科治療、血管内治療、および開胸手術の実施を決定する際には、患者と集学的学治療チームとの間で意思決定を共有することを推奨する。妊娠中または妊娠を希望している大動脈疾患患者にとって、意思決定を共有することは特に重要である。
集学的な大動脈疾患治療チームと経験豊富な外科医が在籍する施設で外科的介入を行う場合に、散発性大動脈瘤および上行性大動脈瘤に対する外科的介入開始の目安となる瘤径を、従来の5.5cmから5.0cmに設定し直した。遺伝性胸部大動脈瘤の患者を対象とした特定の条件では、外科的介入の開始基準としての瘤径はさらに小さく設定される可能性がある。
外科的介入開始の指標として、大動脈基部または上行大動脈の血管径の指標は、患者の体表面積または身長に合わせた調整が必要となることがあり、大動脈の断面積の指標は、平均身長と比べて有意に低身長または高身長の患者に適用する場合に、患者の身長に合わせた調整が必要となることがある。
著者は、「大動脈疾患患者に最善な治療を提供できるように尽力している集学的な治療チームにとって、この新しいガイドラインに掲載された最新かつ総合的な勧告が、臨床診療に有用な情報源となることを望んでいる」と述べている。
なお、数名の著者が、バイオ薬品企業およびヘルスケア企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
[2022年11月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら