紙巻きタバコと電子タバコの併用は禁煙成功率を下げる

提供元:HealthDay News

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公開日:2025/01/07

 

 紙巻きタバコを吸っている人が禁煙のため、一時的に電子タバコを併用したとしても禁煙につながらず、むしろ喫煙継続率が高まるとする研究結果が報告された。ゲッティンゲン大学医療センター(ドイツ)のJosef Hamoud氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「ERJ Open Research」に12月3日掲載された。

 Hamoud氏らは、紙巻きタバコと電子タバコの二重喫煙者が、その後、禁煙したか、電子タバコまたは紙巻きタバコのどちらか一方のみの喫煙としたか、あるいは二重喫煙を継続していたかを検討した過去の研究報告を検索。16件の研究に基づく46報の論文を抽出した。このうち8件の研究データがメタ解析に利用され、研究参加者は二重喫煙者2,432人を含む9,337人だった。

 解析の結果、二重喫煙者は禁煙に至ることが少なく、時間の経過とともに紙巻きタバコの喫煙者に戻るケースが多いことが分かった。詳しく見ると、4~8カ月の観察期間中に完全に禁煙できた人の割合は、二重喫煙者では3%、紙巻きタバコのみの喫煙者では6%、電子タバコのみでは8%であり、8~16カ月で禁煙に至った人の割合は同順に5%、7%、19%、16~24カ月では13%、17%、26%、24~48カ月では24%、25%、35%だった。

 また、二重喫煙者の30%が4~8カ月の間に紙巻きタバコのみに切り替え、8~16カ月には47%、16~24カ月には58%、24~48カ月には55%が、紙巻きタバコのみを吸っていた。加えて、二重喫煙者の38%は8~16カ月の間、依然として両方のタバコを併用しており、24~48カ月でも8%は二重喫煙者だった。紙巻きタバコに移行した人も含めると、結局63~90%の人は喫煙を継続していた。

 この結果からHamoud氏は、「紙巻きタバコと電子タバコの併用は、禁煙に向かう『過渡期』ではなく、むしろ、長期にわたる二重喫煙のリスクを高めるステージと言える。ヘビースモーカーが電子タバコを併用することで、紙巻タバコの喫煙量を減らせるというメリットを期待できるという主張もあるようだが、併用は従来の喫煙スタイルよりもさらに有害である可能性がある」と警告している。

 欧州呼吸器学会のタバコ規制委員会委員長を務めるFilippos Filippidis氏も、Hamoud氏の見解に同意を示し、「今回報告された研究は、電子タバコと紙巻きタバコの併用に関するこれまでのエビデンスの全てを対象として行われた大規模な解析であり、結果として、大半の人にとっては電子タバコが禁煙への足がかりにはならないことが示された」と述べている。同氏はまた、「非喫煙者が電子タバコを吸い始めることのないよう、できる限りのことをする必要がある」と付け加えている。なお、Filippidis氏は本研究に関与していない。

[2024年12月4日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら