統合失調症の認知機能改善に、神経ステロイド追加 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/02/28 統合失調症治療に関して、認知機能障害をターゲットとしたさまざまな研究が行われている。イスラエル・Tirat Carmel Mental Health CenterのAnatoly Kreinin氏らは、最近発症した統合失調症(SZ)および統合失調感情障害(SA)における認知機能障害に対し、抗精神病薬に神経ステロイドであるプレグネノロン(PREG)を追加した場合の有用性を検討した。その結果、PREGの追加により視覚認知、注意集中欠如、実行機能などの改善が認められたことを報告した。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年2月4日号の掲載報告。 研究グループは、DSM-IV分類でSZまたはSAと診断された外来および入院患者60例を対象に、2施設共同8週間二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った。被験者には、抗精神病薬に加えてPREG 50mg/日またはプラセボを投与し、ベースライン時、治療4週時、8週時にコンピュータ上でケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を測定した。経過中の群間および群内比較はANOVAおよび対応のあるt検定またはz検定により行った。 主な結果は以下のとおり。 ・PREG追加群はプラセボ群に比べ、Matching to Sample Visual Search taskにより評価した視覚的注意欠陥を有意に軽減した(p=0.002)。エフェクトサイズは中等度であった(d=0.42)。 ・さらに、PREG追加群ではベースラインから試験終了時までの間に、視覚認知(p=0.008)、注意集中欠如(Rapid Visual Information Processing、p=0.038)、実行機能(Stockings of Cambridge、p=0.049/ Spatial Working Memory、p<0.001)において有意な改善が観察された。プラセボ群では観察されなかった(全項目p>0.05)。 ・このようなPREGによる有益な影響は、抗精神病薬の種類、性別、年齢、教育、罹病期間にかかわらず認められた。 ・以上を踏まえて著者は、「最近発症のSZ/SA例において、プレグネノロンの追加は注意欠陥を有意に改善した。より大きな統計学的有意差を検出し、確信を持って臨床に一般化させるには長期大規模研究が必要である」とまとめている。 関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるのか (ケアネット) 原著論文はこちら Kreinin A et al. Clin Schizophr Relat Psychoses. 2014 Feb 4:1-31. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)