若年精神障害者の多くは、思春期に症状の発現がみられるが、発現が短期間であったり、とくに10代に限られている場合は、概して20代後半には症状の寛解がみられることが示された。オーストラリア・メルボルン大学のGeorge C Patton氏らが、ランダム抽出した中学生1,943例を14年間前向きに追跡したコホート試験の結果、明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年1月15日号掲載の報告より。
1,943例を15.5歳~29.1歳の期間追跡
一般的な精神障害を有する成人の多くが、24歳前に最初の症状発現を報告する。思春期の不安やうつ症状は頻度が高いが、症状が成人期に継続するのか、あるいはそれより前に消失するのかは明らかになっていない。研究グループは、継続パターンや予測因子を明らかにするため、前向きコホート試験を行った。
オーストラリア・ビクトリア州の中学校44校から1,943例をランダムに抽出して層別化登録した。1992年8月~2008年1月(15.5歳~29.1歳)に、思春期に5回、若年成人期に3回、一般的な精神障害について評価した。思春期の評価はRevised Clinical Interview Schedule(CIS-R)を用いて行い、かかりつけ医(family doctor)の判断でスコアが12以上の場合を症状発現と定義した。また、18以上は重篤な精神障害と評価した。
思春期症状が6ヵ月未満1エピソードの場合は、若年成人期への継続は半減
解析には1,750例(男性821例、女性929例)が組み込まれた。思春期に1回以上、CSI-Rで高スコア(12以上)が報告されたのは、男性236例・29%(95%信頼区間[CI]:25~32%)、女性498例・54%(同:51~57%)だった。
それら症状発現を報告した男女のうち約60%(434/734例)が、若年成人期にもエピソードを報告した。一方で、思春期に報告された症状が、6ヵ月未満の1エピソードである場合は、若年成人期に一般的な精神障害を呈する人は半数でしかなかった。
思春期の一般的な精神障害が長期であることは、若年成人期の精神障害の明確で強力な予測因子であった(noneと比較したオッズ比[OR]:3.16、95%CI:1.86~5.37)。
同様に若年成人期への精神障害継続の傾向は、女子(OR:2.12、95%CI:1.29~3.48)、両親が死別・離婚した背景をもつ若者(同:1.62、1.03~2.53)で高かった。
思春期発症の精神障害の割合は、20代後半までに激減し(OR:0.57、95%CI:0.45~0.73)、多くが20代前半の早い時期まで持続していた症状が消失していた。
著者は、「思春期の精神障害の大半が消失したことは、エピソードを短期に終わらせる介入が将来的な罹患回避を可能にするという楽観的な見方を与えるものだ」とコメントしている。