主要待機的手術を受けたオピオイド未使用患者のうち、約3%が術後90日間オピオイドを継続使用していたことが、カナダ・トロント総合病院のHance Clarke氏らによる住民ベースの後ろ向きコホート研究の結果、報告された。低年齢、低所得、糖尿病などを有するといった患者の特性や術式による長期オピオイド使用の傾向も明らかになり、著者は「今回の所見は、オピオイド治療を長期化させない患者群を特定し介入する根拠となるものだ」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月11日号掲載の報告より。
66歳以上のオピオイド術前未使用患者3万9,140例について分析
本検討において研究グループは、オピオイド未使用で主要待機的手術を受ける患者の、術後長期オピオイド使用の発生率とリスク因子を明らかにすることを目的とした。
2003年4月1日~2010年3月31日の間に、カナダ・オンタリオ州の急性期病院で同手術(解剖学的部位として心臓、胸部、腹部、骨盤)を受けた66歳以上のオピオイド未使用患者3万9,140例を対象とした。
主要評価項目は、退院後オピオイド使用の継続(術後90日超、オピオイドが外来処方されていた患者と定義)であった。
長期処方患者の傾向およびリスクの高い手術・術式も判明
3万9,140例のうち、退院後もオピオイドが処方されていた患者は49.2%(1万9,256例)であった。術後90日超処方されていたのは、3.1%(1,229例)であった。
多変量ロジスティック回帰モデルによるリスク補正後、低年齢、低所得世帯、特定の併存疾患(糖尿病、心不全、肺疾患)、術前に服用していた特定の薬物(ベンゾジアゼピン系、SSRI、ACE阻害薬)が、長期オピオイド使用の高リスクと関連していた。
手術手技のタイプにも、長期オピオイド使用との高い関連性が示された。Open法の根治的前立腺全摘除術を参照群として比較した結果、Open法および低侵襲法の胸部手術(肺切除)は有意にリスクが高かった。同オッズ比は、それぞれ2.85(95%信頼区間[CI]:2.03~3.28)、1.95(同:1.36~2.78)だった。対照的に、Open法および低侵襲法の主要婦人科系手術は有意にリスクが低かった。同オッズ比は、それぞれ0.73(同:0.55~0.98)、0.45(同:0.33~0.62)だった。