多臓器不全を伴う新生児や乳幼児への持続的腎代替療法(CRRT)機器として開発された「CARPEDIEM」は、多様な治療やサポートを提供し有用であることがイタリア・聖ボルトロ病院のClaudio Ronco氏らにより報告された。腹膜透析導入を減らし、CRRT適用範囲を拡大し、CRRTによる外傷を減らし、その他の腎代替療法がなくても支持療法として用いることができるという。新生児の急性腎不全(AKI)例では腹膜透析が選択肢となるが、適用できなかったり効果的ではない場合がある。従来CRRT機器は、15kg未満の新生児には未承認使用されており、乳幼児向けにデザインされたものはなかった。Lancet誌2014年5月24日号掲載の報告より。
承認後初となるヒトへの適用例を報告
CARPEDIEM(Cardio-Renal Pediatric Dialysis Emergency Machine)は、新生児および乳幼児向けに開発されたCRRT機器で、研究グループにより5年間の前向き開発プロジェクトによって考案、デザイン、作製されものだった。
in-vitro試験評価と開発目的基準を満たし、ヒトでの使用ライセンスを取得。本報告は承認後初となる、重篤な新生児例への使用を評価したものであった。
2.9kgの新生児に400時間適用、軽度腎機能障害のみで生存退院
CARPEDIEMの主な特徴は、低血流量(30mL未満)、小型ポンプ、1gの精度で調整可能な正確な濾過機能などで、
in-vitro試験では、ハード面およびソフト面の両者で設計仕様が満たされたことが確認されていた。
研究グループは同機器を、出血性ショック、多臓器不全、重度体液過剰を伴う2.9kgの新生児に400時間超適用した。結果、65%体液過剰、クレアチニンおよびビリルビン値上昇、重度アシドーシスはすべて安全かつ効果的に管理され、重篤な疾患であったが、臓器機能は回復。新生児は命を取り留め、軽度腎機能障害のみで病院から腎代替療法を要しない状態で退院となったと報告されている。
(医療ライター:朝田哲明)