ナトリウム・カリウム摂取量と血圧とには、非線形の相関がみられ、それらは高塩分食摂取者や、高血圧症、高齢者で顕著であることが、カナダ・マックマスター大学のAndrew Mente氏らPURE研究グループによる検討の結果、明らかにされた。ナトリウム摂取量が高値であるほど血圧値が高値である相関性は報告されている。しかし同関連が、ナトリウムまたはカリウム摂取量の違いや集団の違いで異なるのかについては、これまで検討されていなかった。NEJM誌2014年8月14日号掲載の報告より。
18ヵ国10万2,216人の成人について分析
PURE(Prospective Urban Rural Epidemiology)研究グループは、18ヵ国10万2,216人の成人について、電解質排泄量と血圧との関連を評価する検討を行った。
単回採取の早朝空腹時尿検体から24時間尿中ナトリウム・カリウム排泄量を推定し、ナトリウム・カリウムの摂取量の代替指標として用いた。血圧の測定は自動血圧計で行った。
被験者は、年齢51.0±9.7歳、女性は57.2%、低位中所得国者が53.6%(うち中国が42.1%)、高位中所得国25.1%、高所得国14.2%、またBMI値26.1±5.1、糖尿病7.1%、自己申告の高血圧症または≧140/90mmHgの人は42.0%などの特性を有していた。平均ナトリウム摂取量は4.93±1.73g、カリウムは2.12±0.60gと推定され、女性よりも男性で摂取量が多い傾向がみられた(いずれもp<0.001)。
相関の傾きは、ナトリウム高摂取、高血圧症、高齢者ほど急に
回帰分析の結果、推定ナトリウム排泄量が1g増加するごとに、収縮期血圧は2.11mmHg、拡張期血圧は0.78mmHgの上昇が示された。この相関の傾きは、ナトリウム摂取量が多いほど急であり、ナトリウム排泄量が5g/日超において収縮期血圧は2.58mmHg/g、同3~5g/日では1.74mmHg/g、3g/日未満では0.74mmHg/gの上昇が示された(交互作用についてp<0.001)。
また相関の傾きは、高血圧症者(2.49mmHg/g)のほうが非高血圧症者(1.30mmHg/g)よりも急であり(交互作用p<0.001)、年齢が高いほど大きくなった。すなわち55歳超では2.97mmHg/g、45~55歳では2.43mmHg/g、45歳未満では1.96mmHg/g(交互作用p<0.001)だった。
一方、カリウム排泄量と収縮期血圧とには、負の相関が認められた。相関の傾きは高血圧症者のほうが非高血圧症者よりも急であり(p<0.001)、年齢が高いほど大きかった(p<0.001)。
(武藤まき:医療ライター)