気管支バルブ治療が葉間側副換気がない重症肺気腫患者の、肺機能および運動耐容能を有意に改善したことが、オランダ・フローニンゲン大学のKarin Klooster氏らによる無作為化試験の結果、報告された。一方向性の気管支バルブを用いた気管支鏡下肺容量減少療法は、重症肺気腫患者の治療として有望視されているが、これまでに報告された有益性はわずかなものであった。一方で先行研究において、葉間側副換気がない患者における有益性の可能性が示唆されており、研究グループはその仮説について検証した。NEJM誌2015年12月10日号掲載の報告。
葉間側副換気がない重症肺気腫患者を対象に、標準内科治療と比較
試験は、葉間側副換気がない重症肺気腫患者を、気管支鏡下で行う気管支バルブ治療(EBV)群または継続的標準内科治療(対照)群に無作為に割り付けて行った。
主要アウトカムは、1秒量(FEV
1)、努力肺活量(FVC)、6分間歩行距離の、ベースラインから6ヵ月時点までの変化であった。
試験には患者84例が参加。そのうち側副換気が認められた13例と、気管支バルブが肺葉に未到達であった3例の計16例を除外し、68例についてintention-to-treat解析にて評価した。同被験者(EBV群34例、対照群34例)は、年齢59±9歳、女性が46例。ベースラインにおけるFEV
1は予測値の29±7%、FVCは同77±18%、6分間歩行距離は374±86mであった。
6ヵ月時点でFEV1、FVC、6分間歩行距離の有意な増大を確認
解析の結果、ベースラインから6ヵ月時点の変化について、EBV群が対照群よりも有意に大きな改善が認められた。EBV群が対照群よりも、FEV
1は140mL(95%信頼区間[CI]:55~225)、FVCは347mL(同:107~588)、6分間歩行距離は74m(同:47~100)、それぞれ増大が認められた(すべての比較のp<0.01)。
6ヵ月間に報告された重篤有害事象は、対照群5例、EBV群は23例であった(p<0.001)。また、EBV群で1例の死亡が報告。EBV群における重篤な治療関連有害事象は、気胸(18%)、バルブの置換(12%)または除去(15%)を要したイベントなどであった。