第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果、潰瘍性大腸炎へのozanimodの1mg/日投与がプラセボと比較して、8週および32週時点の臨床的寛解率がわずかだが上昇したことが確認された。ozanimodはスフィンゴシン-1-リン酸受容体のサブタイプ1と5の経口作動薬で、末梢リンパ球隔離を促すことで消化管内に循環する活性化リンパ球数を減少させる可能性があると考えられている。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のWilliam J. Sandborn氏らが、NEJM誌2016年5月5日号で発表した。
ozanimodとプラセボの8週時点での臨床的寛解率を比較
試験は2012年12月~2015年4月にかけて13ヵ国57施設で、中等症~重症の潰瘍性大腸炎197例を対象に行われた。被験者を無作為に3群に分け、ozanimod 0.5mg/日、ozanimod 1mg/日、プラセボをそれぞれ最長32週間投与した。
メイヨークリニックスコア(0~12)とサブスコア(0~3)を使い、疾患活動性を評価。主要アウトカムは、8週時点での臨床的寛解(メイヨークリニックスコア2以下でサブスコアが1を超えない)とした。
ozanimod 1mg群、8週および32週の臨床的寛解率が上昇
結果、主要アウトカムの8週時点での臨床的寛解率は、ozanimod 1mg群16%、ozanimod 0.5mg群で14%だったのに対し、プラセボ群は6%で、ozanimod 0.5mg群とプラセボ群では有意差が認められなかった(対プラセボで、それぞれp=0.048、p=0.14)。
8週時点で臨床的反応性(メイヨークリニックスコア3ポイント以上かつ30%以上の低下、直腸出血サブスコア1ポイント以上の低下または1以下)が認められたのは、ozanimod 1mg群の57%、ozanimod 0.5mg群の54%に対し、プラセボ群は37%だった(対プラセボで、それぞれp=0.02、p=0.06)。
32週時点の臨床的寛解率は、ozanimod 1mg群が21%、ozanimod 0.5mg群が26%、プラセボ群が6%(対プラセボで、それぞれp=0.01、p=0.002)、臨床的反応性はそれぞれ51%、35%、20%だった(対プラセボで、それぞれp<0.001、p=0.06)。
また8週時点で、リンパ球の絶対数はベースラインから、ozanimod 1mg群で49%減少、ozanimod 0.5mg群では32%減少していた。全体で最も多くみられた有害事象は、貧血と頭痛だった。
なお、今回の試験について著者は、潰瘍性大腸炎へのozanimodの投与の「臨床的有用性および安全性評価の確認において、試験規模および期間ともに十分なものではなかった」と述べ、さらなる試験の必要性を指摘している。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)