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SU薬とDPP-4阻害薬の併用、低血糖リスクを50%増加/BMJ

スルホニル尿素(SU)薬で治療を受けている2型糖尿病患者に対し、DPP-4阻害薬を追加投与すると、低血糖リスクが50%増加し、最初の6ヵ月間で低血糖症例が患者17人に1人増えることになる。フランス・ボルドー大学のFrancess Salvo氏らが、無作為化プラセボ対照比較試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。DPP-4阻害薬とSU薬との併用により低血糖リスクが増加することは知られていたが、そのリスクの定量化はなされていなかった。著者は、「DPP-4阻害薬の投与を開始する場合にはSU薬の減量が推奨されていることを尊重し、低血糖リスクを最小限にするこの治療法の有効性を評価する必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年5月3日号掲載の報告。
SU薬+DPP-4阻害薬とSU薬+プラセボを比較した無作為化試験をメタ解析
研究グループは、Medline、ISI Web of Science、SCOPUS、Cochrane Central Register of Controlled Trials、clinicaltrial.govから、2型糖尿病患者においてDPP-4阻害薬+SU薬併用療法(被験者50例以上)とプラセボを比較した無作為化試験について、言語を問わず検索した。期間はclinicaltrial.govが2014年11月まで、それ以外は2013年10月15日までであった。解析対象研究の調査とデータ収集は2人の研究者が独立して行い、各試験のバイアスリスクをコクラン共同計画のツールを用いて評価した。メタ解析のエビデンスの質はGRADEシステムを用いて評価。試験ごとに低血糖のリスク比とその95%信頼区間を算出した後、マンテル・ヘンツェル法またはランダム効果モデルを用いて統合解析を行った。
併用で低血糖リスク比は1.52、6ヵ月間のNNHは17
解析に組み込まれた試験は10件、計6,546例であった(DPP-4阻害薬+SU薬4,020例、プラセボ+SU薬2,526例)。低血糖のリスク比(RR)は、全体で1.52(95%CI:1.29~1.80)であった。また、NNH(有害必要数:何人の患者を治療するごとに低血糖1例が発生するかを示す)は治療期間6ヵ月以下で17(95%信頼区間[CI]:11~30)、6.1~12ヵ月で15(95%CI:9~26)、1年以上で8(95%CI:5~15)であった。
サブグループ解析の結果、DPP-4阻害薬の用量の違いによる、低血糖リスクの差はみられなかった。また、半量投与群で低血糖リスクの有意な増加は示されなかった。標準用量(最大投与量含む)群のRRは1.66(95%CI:1.34~2.06)、半量投与群のRRは1.33(95%CI:0.92~1.94)であった。
(医療ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら
Salvo F, et al. BMJ. 2016;353:i2231.
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DPP-4阻害薬の適正使用を再認識する(解説:吉岡 成人 氏)-538
コメンテーター : 吉岡 成人( よしおか なりひと ) 氏
NTT東日本札幌病院 院長
J-CLEAR評議員