早期抗レトロウイルス療法によるカップルのHIV-1伝播予防、5年超の効果/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/08/03

 

 性的パートナーの一方でHIV-1感染陽性が認められた場合、すみやかに抗レトロウイルス療法(ART)が行われるようになったのは、HIV-1血清陽性・陰性者カップル間での伝播予防について検討したHPTN(HIV Prevention Trials Network)052試験の中間報告で、96%超の伝播予防効果が報告されたことによる(追跡期間中央値1.7年、2011年5月発表)。同研究について、追跡5年超の解析結果が、米国・ノースカロライナ大学のM.S. Cohen氏らによって発表された。早期治療群のカップル間伝播の低減効果が持続していることが確認されたという。NEJM誌オンライン版2016年7月18日号掲載の報告。

1,763組をART早期治療群と待機的治療群に割り付け追跡
 HPTN052試験は9ヵ国(米国、ブラジル、インド、タイほかアフリカ5ヵ国)13都市で、一方のパートナーがHIV感染陽性のカップル1,763組を集めて行われた。被験者をARTの早期治療群(886組)または待機的治療群(877組)に無作為に割り付けて検討。早期治療群は登録後すぐに治療を開始し(登録時の患者のCD4+細胞は350~550個/mm3)、待機的治療群はCD4+細胞が連続250個/mm3以下もしくはAIDS疾患定義に基づく発症が認められた場合に治療を開始した。

 試験の主要エンドポイントは、陰性パートナーにおける、カップル間の伝播を示すHIV-1感染の診断で、intention-to-treat解析で評価した。

5年超時点も早期ART群の伝播抑制効果は97%
 追跡期間中央値は早期ART群、待機的ART群ともに5.5年。解析には1万31人年、8,509組が組み込まれた。

 試験期間中、78組のHIV-1感染が観察された(年間発症率:0.9%、95%信頼区間[CI]:0.7~1.1)。72組(92%)についてウイルス学的関連を調べた結果、カップル間伝播が確認されたのは46組(早期ART群3組、待機的ART群43組、発生率0.5%、95%CI:0.4~0.7)、26組は伝播が確認されなかった(同:14組、12組、0.3%、0.2~0.4)。

 早期ARTは待機的ARTよりも、カップル間伝播のリスクが93%低かった(ハザード比:0.07、95%CI:0.02~0.22)。なお、カップル間伝播は、陽性パートナーがARTによってウイルス抑制効果が認められている間は観察されなかった。