持続型喘息患者においてSMART(single maintenance and reliever therapy)は、吸入ステロイド薬(ICS)(長時間作用性β2刺激薬[LABA]併用の有無を問わない)による長期管理療法と、発作時に短時間作用性β2刺激薬(SABA)を用いる治療法と比べて、増悪のリスクが低いことが示された。米国・コネティカット大学薬学校のDiana M. Sobieraj氏らが、16の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにした。ただし、4~11歳の患児に関するエビデンスは限定的であったという。SMARTは、長期管理薬+発作治療薬としてICSとLABAを組み合わせた治療法で、持続型喘息患者にとって最適な維持療法となる可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2018年3月19日号掲載の報告。
系統的レビューとメタ解析で検討
研究グループは、MEDLINE via OVID、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Database of Systematic Reviewsのデータベースを用いて、持続型喘息患者におけるSMARTの有効性の系統的レビューとメタ解析を行った。各データベースの開設~2016年8月(最終アップデートは2017年11月28日)に、5歳以上の持続型喘息患者を対象として、SMART vs.ICS(LABA併用あり/なし)による長期管理療法+SABAの発作治療を評価した、無作為化試験または観察試験を検索した。
2人のレビュワーが試験を選択し、ランダム効果モデルを用いて、リスク比(RR)、リスク差(RD)、平均差をそれぞれ95%信頼区間(CI)とともに算出。レビュワーそれぞれが、引用文献スクリーニング、データの抽象化、リスク評価およびエビデンスの強さの等級付けを行った。
主要評価項目は、喘息の増悪。
12歳以上では、SMARTの喘息増悪リスクの低下が認められる
解析には16件の無作為化試験(患者計2万2,748例)を包含。そのうち15件が、SMART としてブデソニド・ホルモテロール配合剤を評価したものであった。
12歳以上の患者集団(2万2,524例、平均年齢42歳、女性65%)で、SMART群は、同用量ICS+LABAの長期管理療法群と比較して、喘息の増悪リスクが低かった(RR:0.68[95%CI:0.58~0.80]、RD:-6.4%[-10.2~-2.6])。また、高用量ICS+LABAの長期管理療法群との比較においても、喘息の増悪リスクが低かった(RR:0.77[0.60~0.98]、RD:-2.8%[-5.2~-0.3])。
同様の結果は、SMART群をICS単独の長期管理療法群と比較した場合にも認められた。
4~11歳の患者集団(341例、年齢中央値8歳[範囲:4~11]、女児31%)では、SMART群は、高用量ICSの長期管理療法群との比較において(RR:0.55[0.32~0.94]、RD:-12.0%[-22.5~-1.5])、または、同用量ICS+LABAの長期管理療法群との比較において(RR:0.38[0.23~0.63]、RD:-23.2%[-33.6~-12.1])、喘息の増悪リスクが低いことが認められた。
(ケアネット)