COPDに対する3剤併用療法(吸入ステロイド+LAMA+LABA)は、2剤併用療法(吸入ステロイド-LABA、またはLAMA-LABA)よりも有益なのか。米国・グラクソ・スミスクラインのDavid A. Lipson氏らによる第III相無作為化二重盲検並行群間試験「IMPACT試験」の結果、3剤併用療法(フルチカゾン+ウメクリジニウム+ビランテロール)は、2剤併用療法(フルチカゾン-ビランテロール、またはウメクリジニウム-ビランテロール)よりも、中等度~重度のCOPD増悪を有意に抑制したことが示された。また、COPDによる入院も低減したという。NEJM誌オンライン版2018年4月18日号掲載の報告。
COPD患者1万355例が参加、中等度~重度COPD増悪の年間発生率を評価
IMPACT試験は2014年6月~2017年7月に、37ヵ国から被験者を募り行われた。登録されたのは、40歳以上、症候性COPDが認められる(COPDアセスメントテスト[CAT]スコア[範囲0~40、高スコアほどより症候性、臨床的に意味のあるスコア差は最低2]が10以上)、FEV
1が予測正常値の50%未満および前年に中等度~重度のCOPD増悪を経験、またはFEV
1が予測正常値の50~80%および前年に中等度の増悪2回もしくは重度の増悪1回を経験している患者であった。
COPD患者1万355例が参加し、1日1回投与の、フルチカゾン(吸入ステロイド)100μg+ウメクリジニウム(LAMA)62.5μg+ビランテロール(LABA)25μgの3剤併用療法を受ける群と、フルチカゾン-ビランテロール(それぞれ100μg、25μg)かウメクリジニウム-ビランテロール(それぞれ62.5μg、25μg)の2剤併用療法を受ける群に無作為に割り付けられ、52週間にわたる試験が行われた。いずれの療法も、エリプタ吸入器を用いた単回投与で行われた。
主要評価項目は、試験薬投与期間中における中等度~重度COPD増悪の年間発生率であった。
3剤併用0.91件/年、吸入ステロイド-LABA 1.07件/年、LAMA-LABA 1.21件/年
主要アウトカムは、3剤併用群が0.91件/年であったのに対し、フルチカゾン-ビランテロール群は1.07件/年(3剤併用療法群との率比[RR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.80~0.90、差:15%、p<0.001)、ウメクリジニウム-ビランテロール群は1.21件/年(0.75、0.70~0.81、25%、p<0.001)であった。
重度増悪による入院の年間発生件数は、3剤併用療法群0.13件であったのに対し、ウメクリジニウム-ビランテロール群は0.19件であった(RR:0.66、0.56~0.78、差:34%、p<0.001)。フルチカゾン-ビランテロール群は0.15件であった(RR:0.87、0.76~1.01、13%、p=0.06)。
肺炎の発生は、ウメクリジニウム-ビランテロール(LAMA-LABA)群よりも、吸入ステロイドを用いた群で高率に認められた。また、臨床的に診断された肺炎のリスク(初回イベント発生までの時間で解析)は、ウメクリジニウム-ビランテロール(LAMA-LABA)群との比較において、3剤併用療法群で有意に高率であった(ハザード比:1.53、95%CI:1.22~1.92、p<0.001)。
(ケアネット)