急性虚血性脳卒中患者において、血栓部位がより末梢で、残存血流量が多く、再開通評価までの時間が長いほうが、アルテプラーゼ(rt-PA)静脈投与後の動脈閉塞再開通と関連することが確認された。rt-PAの投与を受けていない患者では、動脈再開通率は低値であった。カナダ・カルガリー大学のBijoy K. Menon氏らによる、多施設共同前向きコホート研究「INTERRSeCT研究」の結果で、著者は「これらの結果は、急性虚血性脳卒中患者の治療とトリアージの際に役立つ可能性がある」と述べている。脳血栓の再開通は急性虚血性脳卒中患者の臨床転帰の改善と関連しており、rt-PA静注療法と血栓特性、再開通時間との関連は脳卒中トリアージと今後の研究デザインにとって重要であるが、rt-PA静注療法による再開通率を検証したこれまでの研究は、症例数や試験デザイン、評価法などに限界があった。JAMA誌2018年9月11日号掲載の報告。
急性虚血性脳卒中患者575例で、CTAまたは血管造影所見と再開通率を評価
INTERRSeCT研究では、2010年3月~2016年3月にカナダ、スペイン、韓国、チェコ、トルコの12施設において、急性虚血性脳卒中患者を対象に、頭蓋内血栓閉塞部位、臨床・画像所見と経時的な再開通率との関連が調べられた。コンピューター断層撮影血管造影(CTA)で頭蓋内動脈閉塞を呈した脳梗塞患者575例を対象に、人口統計学的特性、臨床所見、rt-PA投与から再開通までの時間、CTAで確認された頭蓋内血栓特性(部位と血管透過性)について評価した。
主要評価項目は、ベースラインのCTA撮影後6時間以内に得られた、再CTA画像または患部である頭蓋内閉塞の初回血管造影画像上で、改訂動脈閉塞スケール(rAOL:スコア0[主要閉塞病変が同じ]~3[主要閉塞部位の完全再開通])を用いて確認された再開通とした。
計575例(平均年齢72歳[IQR:63~80]、男性51.5%、発症からベースラインCTAまでの平均時間114分[IQR:74~180])のうち、275例(47.8%)がrt-PA静注療法単独、195例(33.9%)がrt-PA静注療法+血管内血栓除去術、48例(8.3%)が血管内血栓除去術単独、57例(9.9%)が保存療法を受けた。
rt-PA静注療法による再開通は画像所見で予測可能
ベースラインCTAから再開通評価までの時間中央値は158分(IQR:79~268)、rt-PA静注開始から再開通評価までの時間中央値は132.5分(IQR:62~238)であった。
再開通の成功率は、全体で27.3%(157/575)、rt-PA静注療法群で30.4%(143/470)、非rt-PA静注療法群で13.3%(14/105)であった(群間差:17.1%、95%信頼区間[CI]:10.2~25.8%)。
rt-PA静注療法群では、治療開始から再開通評価までの時間(30分経過ごとのオッズ比[OR]:1.28、95%CI:1.18~1.38)、遠位血栓(たとえば末梢M1中大脳動脈[39/84例、46.4%]vs.内頸動脈[10/92例、10.9%]、OR:5.61、95%CI:2.38~13.26)、残存血流量大(たとえばhairline streakあり[30/45例、66.7%]vs.なし[91/377例、24.1%]、OR:7.03、95%CI:3.32~14.87)で、再開通との関連が確認された。
(医学ライター 吉尾 幸恵)