プラチナ-イリジウムコア/コバルト合金ワイヤーストラット耐久性ポリマー・zotarolimus溶出ステント(Resolute Onyx)は、超薄型コバルト-クロムストラット生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステント(Orsiro)と比較し、追跡期間1年時の安全性および有効性の複合エンドポイントについて非劣性であることが、オランダ・Medisch Spectrum TwenteのClemens von Birgelen氏らによる国際多施設共同無作為化単盲検非劣性試験「BIONYX」の結果、示された。著者は「イベント発現率は両群ともに低く、両ステントが安全であることを示唆しているが、ステント血栓症発症率がResolute Onyx群で非常に低く、さらなる臨床研究が推進される」とまとめている。これまで、実臨床下(all-comers)でResolute Onyxと他の薬剤溶出ステントを比較した研究はなかった。Lancet誌オンライン版2018年9月22日号掲載の報告。
ステント留置を要する患者約2,500例で安全性と有効性を比較
BIONYX試験は、ベルギー、イスラエル、オランダの7施設で実施された。対象は、薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を必要とする18歳以上の患者で、前拡張の有無にかかわらずガイドワイヤー通過後にカテーテル室のチームメンバーが、インターネットでのコンピュータ作成割り付け配列を用い、Resolute Onyx群またはOrsiro群に1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化は、性別および糖尿病の状態で層別化された。患者および評価者は割り付けに関して盲検化されたが、治療した医師は盲検化されなかった。
主要評価項目は、1年時点の標的血管不全(TVF)(心臓死・標的血管関連心筋梗塞・標的血管血行再建術の複合エンドポイントと定義)とし、独立評価委員会の判定に基づきintention-to-treat解析を行った(非劣性マージンは2.5%)。
2015年10月7日~2016年12月23日に計2,516例が登録および無作為化され、そのうち同意撤回などによる中断またはスクリーニング失敗の28例を除く2,488例がintention-to-treat解析に組み込まれた(Resolute Onyx群1,243例、Orsiro群1,245例)。
1年時の標的血管不全発生率、Resolute Onyx群4.5%、Orsiro群4.7%で非劣性を確認
患者背景は、1,765例(70.9%)が急性冠症候群、1,275例(51.2%)が心筋梗塞で、1年時点のデータを入手できたのは2,478例(99.6%)であった。
主要評価項目であるTVFの発生は、Resolute Onyx群55例(4.5%)、Orsiro群58例(4.7%)であり、Orsiro群に対するResolute Onyx群の非劣性が確認された(絶対リスク差:-0.2%、95%信頼区間[CI]:-1.9~1.4、95%片側CIの上限:1.1%、非劣性のp=0.0005)。
definite/probableのステント血栓症は、Resolute Onyx群で1例(0.1%)、Orsiro群で9例(0.7%)に認められた(ハザード比:0.11、95%CI:0.01~0.87、p=0.0112)。
(医学ライター 吉尾 幸恵)